情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明


漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

言葉

京言葉における「はん」と「さん」について、明治四十四年生れの映画監督が書いていた事

サンデーの「舞妓さんちのまかないさん」いいですよねえ。 https://www.sunday-webry.com/websunday_samples/maikosanchinomakanaisan/ 舞妓さんちのまかないさん 1 作中の人物は、地方出身だったりもして完全に京言葉ではないのですが、舞妓さんはそれなり…

音読み、訓読み、当て字、どれでもない漢字の読み方の話

例えば、これらはどう読みますか? 烏龍茶 四星球 八萬 神龍 多くの人が、 うーろんちゃ すーしんちゅう ぱーわん しぇんろん って読むんじゃあないですか。 これ、音読み、訓読み、当て字、どれでもないですよね。 「中」とだけ書くと「なか」か「ちゅう」…

「麻雀はイメージ戦争」阿佐田哲也より(1976年、藝能東西より)

今日発売の近代麻雀に掲載されていた、アカギを読んでて思い出したというか引っ掛かったんで探し出してきた。 季刊「藝能東西」一九七六年四月花吹雪号に掲載されたエッセイ、「麻雀はイメージ戦争」阿佐田哲也(色川武大)に書かれていたこと。 全部で4Pのシ…

昭和四年初版、昭和二十九年参版の講談社版「落語全集」に載ってた「家庭心得歌」と広告

家庭心得歌 水道の 始めの水は 使うなよ 鉛のくだに 毒ぞこもらん 石油の臭を 早く消さんには 番茶いぶして 手をばかざせよ 松茸を 買うには茎 をまずつまめ かたきものには 虫がおらぬぞ 生みそを ときたる汁で 洗うべし たばこのやにの ついた着物は 足脂 …

アントニオ猪木のメッセージ「若者へ」(1983年「実録まんが アントニオ猪木」より)

若者へ アントニオ猪木 わたしは、プロレスラーになってよかったと思っていますし、大きな誇りを持っています。きたえぬかれた肉体と、不屈の精神力とをかねそなえた者のみが生き残れる世界だからです。 この本にある通り、わたしは、いつも“世界一!”を夢み…

日本の出版社が翻訳時に装丁いじるのって珍しくもないよ、てな話

スティーブ・ジョブスの伝記の日本版の装丁がなんたらかんたらって話がありますが、原著者の意向がどこまで尊重されるかって難しい話だと思います。 今回もそうですが、亡くなっちゃってるともうどうしようもないし、その「権利」がどこまで生きてるのかって…

「ゴジラ」の監督、本多猪四郎の「私の信条」

観客を楽しませること、特別な人に向けた芸術に偏るのでは無いこと。 それでいて、数多の最高の作品を作り上げた監督ならではの言葉だと思います。 私の信条 大衆と共に楽しむ。それが私の心情だ。 理想をもって生きる。それが私の心積もりだ。 花園の雑草だ…

歌と言葉とリズムと心。高橋掬太郎「歌謡の作り方」(1946年)

「酒は涙か溜息か」を作詞した高橋掬太郎が1946年に新興音楽出版*1で著した一冊。 これは面白い。 目次 奥付 作詞を志す人向けに書かれているのだが、言葉と言葉の音の数のつながりを「音格」として説明する項などはなるほどとうならせる。 歌謡の歌詞のみな…

「われわれは胃袋の哀れな奴隷にすぎない」 ジェローム・K・ジェローム「ボートの三人男」より。

胃袋がそう望まない限り、われわれは働くこともできなければ考えることもできない。胃袋はわれわれに対し、こういう感情を持て、こういう情熱を持てと命令するのである。 エッグズ・アンド・ベイコンを食べたあとで胃袋は言う―― 「働け!」 朝食と黒ビールが…

日常の変化と、非日常の風景描写と、読者の受け止め方とか

GW中に読んだ小説に、こんな一節がありました。 何より不気味だったのは、コンビニエンス・ストアのローソンの前を通ったときだった。閉まっているのを見たことがなかったのだ。 この種の店はつねにかならず明かりがついていて、ドアに鍵がかかっていること…

「パクリ」という言葉の使い方に違和感を覚えた例

それから、料理人の高い水準をも、こちらの陣営にとりこむだろう。 シェフを名乗る人たちは、思い切り実験的で、好きなだけ独創的になることができるものなのだ(目に見える斬新さが、結局はパクリでしかないとわかっても)。 シェフは、自分が誇りをもって出…

「おとぎ話」の伝染性(ニール・ゲイマン)

いうまでもなく、おとぎ話は伝染する。人は風邪をひくようにおとぎ話をひいたり、ウイルスに感染するようにおとぎ話に感染する。 おとぎ話はまた、自分たちよりまえに生きた世代と共有できる、通貨のようなものでもある(両親や祖父母からきいたおとぎ話を自…

竹馬の友だけがダチじゃない

チンタラ何年もつきあうだけがダチじゃねえ! すれちがって一生会えねえやつとだって ダチになれる瞬間ってあるのよ! -秋葉瞬- 積木爆×木村知夫「Let'sダチ公」 11巻 P131より。

実在の人物と、それに対する表現とのずれについて(海野弘)

私たちがよく知っていると思っている人が、文章や絵の中でおどろくほどすばらしく表現されていることがある。自分の印象では、それほどすばらしい人ではないはずだ。このようなずれをどう考えたらよいのだろう。 自分の判断を正しいとすれば、文章や絵は、つ…

現在の水準と比して過去の作品を批判するのは簡単だが、してはならない by 池田理代子(1980年)

講談社Be in Love 1980年2号「理代子の・・・どんな問題・こんな問題」より。 ホントこの辺、三十年一日ですね。 少女漫画評論というものが出てきて、本も出版されて、という状況をうけての文章より。 (前略) おいしい部分を支えているのは、その陰にある数…

優れた・尊敬できる人物を「神」と呼ぶのはネットスラングじゃあないだろ、という話

「〜は神!」「〜さんは神です」みたいな言い方、日本独自のネットスラングかと思ってたんですが、そんなこと無いのね。 そもそも、ネット特有でもないし、最近でもない。 今回紹介する具体例は40年前、1970年です。 たくさんの友人から“神”扱いされている …

各自に道徳を作る機会を与えれば、自分にとって一番楽な、なるたけ都合の良いものができあがるだろう。(byアレグザンダー・マコール・スミス)

たいがいの道徳は正しいおこないについて説いている。 それが正しいとわかるのは、容認と遵守の長い過程を経ているからだ。 経験が追いつかない個人には、道徳を作ることができない。 なんの権利があって、祖先より自分のほうが分別があるなどと言えるだろう…

イデオロギーのために思考や感情を抑圧しては本末転倒である(by アーシュラ・K・ル=グイン)

私は女として、しばしば怒りに燃えています。 しかし私の女権主義的な怒りは、私たち人類がお互いに、あるいはこの地球に対して、または自由と生命との希望に対してやっていることに直面したときに私を捉える怒りや恐怖の一部分、一要素をなすにすぎません。…

楽な姿勢で本を読むには(byヘロイーズ)

「ライフハック」って日本語に訳すと「おばあちゃんの智恵袋」なんじゃあないのかなーと思う。 ベッドで半身を起こして本を読むときは、お腹の上に枕か、ティッシュ・ペーパーの箱を置き、その上に本をのせましょう。 ちょうどよい高さになって、腕と肩に余…

引越しの時、藏書だけで八トンあった(by丸谷才一)

(引越しの話の中で) 引越しでいちばん辛いのは、やはり引越しそれ自体。つまり、家財道具を運ぶことである。もちろん運送屋がやつてくれるのだが、その前の段階(箱に詰める)およびあとの段階(箱から出す)があつて、厄介なことこの上ない。おまけにわたし…

古本にハマると「読む」事の順位は下がっていく(by喜国雅彦)

古書好きの楽しみは「探す楽しみ」「騙し騙される楽しみ」「買う楽しみ」「持って帰る楽しみ」「並べる楽しみ」である。 (最初の動機であったはずの「読む楽しみ」は途中からどんどん順位が下がっていくからおかしい) 本棚探偵の冒険 (双葉文庫) P304-305よ…

本というものがいかに特殊な商品であるか(by山田風太郎)

山田風太郎のエッセイ集「半身棺桶」を読んでてなるほど、と思った文章があったんでご紹介。 (本屋に注文して新刊本を取り寄せる、という話の続きに) ちょいちょい困るのは、何かのてちがいで、注文しない本や、いちど買ったものがまちがってまた送られて来…

何で読んだか思い出せない

夏の夜は猫たちの時間 冬の朝は犬たちの時間 続きがあったような気もする。 2003年以前にどっかで読んだのだと思うけど、間違えて覚えてるのかしら。 出典がわからん。ググっても不明。誰か知ってたら教えてください。

誰かにとって都合の良い報道と捏造・隠蔽とか

丁度読んでた本にあったので少し引用。 戦争報道の内幕―隠された真実 (中公文庫)より。 マッカーサーは1944年10月20日朝、フィリピンに戻り、海岸の浅瀬を陸に向かって歩いたが、それも一ヶ所だけでなく、数ヶ所の海岸で続けて同じことを行ったのである。 現…

(小説の)読者の傾向について

すべての芸術作品で、本当に新しいものが世間から受け入れられるには、かなり長い時間を要します。 小説の読者は絶えず新奇を求め、飽きっぽく移り気のように見えますが、それは表面だけのことで、少なくとも一般の読者は馴れた感受性の動きからひきだされる…

道具、刃物はいつでも切れるようにしておきなさい

刃物さえシャープにしておけば、刃物はお前のために仕事をしてくれる。 もし、それを怠ると、お前は一生道具のために働くことになるよ。 イギリス職人ばなし作者: 塩野米松出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2001/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件…

イスラム教における「六つの快楽」

は以下の通り。 食事 酒 衣服 セックス 香り 音 また、この内「最も崇高で重要なもの」は「食事」であるとも。 ただし、「バグダッドで書かれた古いムスリム料理の本」によればとの但し書き付き。 インドカレー伝(リジー・コリンガム) ISBN:4309224571 P30。…

変化を求め続ける心

この年になっても、お料理をやるたびに、変わったことがしたいと思います。 <あれはこうするもの、これはああするもの>と決めてかかっていては、進歩もないし、おもしろくもありません。 なにかこう、ダイヤルをまわしつづけている、そんな気でいるんです …