情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

ジョーも悟空もルフィも居なかった時代の「マンガの主人公」(1965年、至誠堂)



 先日、古書店でこんな本を買いました。


 「マンガの主人公」(作田啓一多田道太郎・津金沢聡広)昭和四十年(1965年)、至誠堂発行。
  

 マンガの主人公 (1965年) (至誠堂新書)


 大正時代(1923年)から当時(1965年)までの日本の漫画の主人公を、時代順に47人選び、描かれた背景とそのありかたから世代を論じるというもの。
 赤穂四十七士に見立てて「47人」なんですね。


 しかし、書かれたのが1965年とあって、流石に古いのなんの。
 1970年代以降に書かれた漫画論的なものが「あしたのジョー」「巨人の星」なんかを抜かせない事を考えると、なるほどなあ、とも思えるのですけどね。


 取上げられているのは

  1. 唯野人成(岡本一平)
  2. 団子串助(宮尾しげを)
  3. 正チャン(織田信恒×樺島勝一)
  4. ひね子さん(長崎抜天)
  5. ズク小僧(巌谷小波×岡本帰一)
  6. ノンキナトウサン(麻生豊)
  7. 長靴の三銃士(井本水明×牧野大誓)
  8. のらくろ(田河水泡)
  9. 黄金バット(永松武雄加太こうじなど)
  10. スピード太郎(宍戸左行)
  11. 蛸の八ちゃん(田河水泡)
  12. 男やもめの厳さん(下川凹天)
  13. 甘辛新家庭(田中比左良)
  14. 運藤一家(柳瀬正夢)
  15. あわてものの熊さん(前川千帆)
  16. 只野凡児(麻生豊)
  17. 無軌道父娘(下川凹天)
  18. 荒馬奥さん(前川千帆)
  19. 冒険ダン吉(島田啓三)
  20. 赤ノッポ青ノッポ(武井武雄)
  21. 半田半介(サトウハチロー×田中比左良)
  22. タンクタンクロー(坂本牙城)
  23. コグマノコロスケ(吉本三平)
  24. ハツメイハッチャン(武井武雄)
  25. 日の丸旗之助(中島菊夫)
  26. 思ひつき夫人(平井房人)
  27. 推進親爺(松下井知夫)
  28. ガンガラがん太(帷子進)
  29. フクちゃん(横山隆一)
  30. サザエさん(長谷川町子)
  31. ヤネウラ3ちゃん(南部正太郎)
  32. プッチャー(横井福太郎)
  33. デンスケ(横山隆一)
  34. あほだら兄弟(加藤芳郎)
  35. おトラさん(西川辰美)
  36. 轟先生(秋好馨)
  37. かっぱ川太郎(清水昆)
  38. プーサン(横山泰三)
  39. 少年ケニア(山川惣治)
  40. アッちゃん(岡部冬彦)
  41. まっぴら君(加藤芳郎)
  42. 月光仮面(川内康範×井上球二)
  43. ポンコツおやじ(富永一朗)
  44. ロボット三等兵(前谷惟光)
  45. 鉄腕アトム(手塚治虫)
  46. 影丸*1(白土三平)
  47. クリちゃん(根本進)


 とまあ、過去には映画化されたような有名作品も多いのですが、現在では殆どが忘れ去られた作品でしょう。
 (参考記事>なんと主演は女装!あのメイド漫画がTBS系で実写ドラマ化!!)


 図版をみても、なんだろうなあこれ感が凄い。
  
 
 


 ちなみに、この本の筆者たちによるベスト5は「長靴の三銃士」「男やもめの巌さん」「只野凡児」「あほだら兄弟」「ポンコツおやじ」だそうですが、2013年現在ではもはやどれも通じないというか読むだけでも困難。


 現代でも一般的に名前が通じそうな5作は「のらくろ」「サザエさん」「フクちゃん」「鉄腕アトム」「月光仮面」あたりでしょうか。
 「フクちゃん」よりも「ロボット三等兵」かなあ?


 こういう見立てを現在やろうとすると、47人じゃあとても足りないでしょうね。1年1作とかの縛りでも昭和〜平成だけで88年、88人。
 ジャンプだけ、マガジンだけ、チャンピオンだけ、みたいのだと47人でいけるだろうか。
 試しにやってみて、喧々諤々とするのも面白いかもしれませんが、世代間の断絶と好みが出すぎて偏るだろうなあ。
 108人で水滸伝にしてみるか、いやそれも厳しいか。


 漫画周辺書籍も、時代によって色々ですね、といった所で今回はここまで。

*1:「忍者武芸帖」の方