すっかり放置していた「菊とポケモン-グローバル化する日本の文化-」やっと読み終わった。
(主にアメリカにおける)日本製ゲーム・アニメ・特撮の受容に関して興味深い記述も多く、また、具体的な金額に多く触れているのが面白い。
ところでこの本、原題は「Millennial Monsters: Japanese Toys and Global Imaginations」で、菊はまったく関係ないのです。
作者のアン・アリスンは、日本版向けあとがき「日本語版刊行によせて」で
刊行から四年たって新潮社より日本語版が出版されると聞いて大いに喜んだ。
ところが、日本語版にはルース・ベネディクトの『菊と刀』をもじった題名をつけたいと提案されたのはショックだった。
最終的に受け入れたが、ベネディクトと私は、米国で日本を研究する文化人類学者であるという共通項はあるものの、本書における私の立ち位置は彼女と異なることをまず言っておきたい。
なんて書いてる位。
日本文化論のタイトルとして、1946年に出版された、ルース・ベネディクト「菊と刀」(The Chrysanthemum And The Sword)の影響が大きすぎるんですかねえ。
類似、というか、それを基にしたタイトルの本を探してみると
- 菊と刀(ルース・ベネディクト) 1946年
- 菊とバット(ロバート・ホワイティング) 1977年
- 菊と刀と十字架と (デイヴィッド・リード) 1976年
- 菊とライオン : 日英交流史にみる日本情報のルーツ (島田孝右) 1987年
- 菊と鷲(佐藤隆三) 1990年
- 菊と棘 : Time特派員がみた日本(エドウィン・M・ラインゴールド) 1995年
- 菊とサラブレッド (デイヴィッド・シャピロ) 1997年
- 菊と十字架(ヨーゼフ・スピルマン) 2003年
- 菊とポケモン(アン・アリスン) 2010年
と、今ちょっと検索してこんだけ見つかるんだから多分もっとあるでしょう。(文化論じゃなくて演劇とか戦記とわかる例は除いてます)
こういう、大ヒットしたものにあやかった名前をつけるってのは幾つかのメリットがあり、逆にデメリットはそんな無いかも。
- メリット
- 何を主題としたか類型として推測しやすい
- パロディでも、あやかりでも、完全に同一でない限り著作権上の問題は無い
- 間違って買ってくれればもうけもの
変わった例だと、ドラマ「氷点」から「笑点」が生まれた、なんてのもありますか。
何匹目のドジョウを狙うかにもよりますが、「もしも○○が××を読んだら」が沢山あるのを手放しで笑うことはできないですな。
はて、漫画作品のタイトルだとこういう例あるだろうか。「鉄腕バーディー」なんかがそうかな?
といった所で今回はここまで。
そうそう、「菊とバット」の原題は「The Samurai Way of Baseball」で、これも菊関係ないですね。
ちなみにロバート・ホワイティングは、GUY JEANSというペンネームでヒラマツミノルの漫画「REGGIE」の原作やったりもしてます。