情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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イギリスの競馬場のコースレイアウトの多様さに驚いた。(「競馬の文化誌」より)




 日本の競馬場のコースは、大きさに多少の差こそあれ殆どすべてが同じ形なんですが、イギリスの競馬場はどれも違うという絵図が、山本雅男「競馬の文化誌」競馬の文化誌―イギリス近代競馬のなりたちという本に載っていたのですが、これはすごい。*1
 ブリテン島内の59箇所の競馬場を描いたもの。

 
 
 


 
 
 


 縦線の入っている場所がゴールライン、なんですがどこをどう通ってそこに至るのかわからんのも結構ある。
 KEMPTON PARKの右上の方はどう使うのかとか、SANDOWN PARKは一体、とか。
 ググると公式ページなんかが出てきてわかるけど、不思議なのが多い。



 日本のコースがどれもほぼおなじ形をしているのに対して、イギリスのそれが、極端なことを言えば、どれひとつとしておなじ形をしたものがないという点である。


 (中略)


 どうしてこのような多様性が生まれたかといえば、それは、おそらく土地所有の来し方に来歴があると考えられる。


 (競馬の文化誌 P49〜)


 多くが芝のコースで、年に多くても10〜20回しかレースが開催されないってのも日本とは大きく違うところ。
 その辺は、この本の第二章に詳しく書かれています。


「競馬の文化誌 -イギリス近代競馬のなりたち-」の内容


 競馬の文化誌 -イギリス近代競馬のなりたち-
 競馬の文化誌 -イギリス近代競馬のなりたち-


 章立てとしては

  • 第一章「制度の整備」
  • 第二章「競走形態の整備」
  • 第三章「賭博としての競馬」
  • 第四章「馬種の改良」

 となっていて、ジョッキークラブのなりたち、貴族階級と馬の話、クラシックレースの誕生、ブックメーカーサラブレッド、とは、などサブタイトル通り「イギリス近代競馬」について書かれています。


 スポーツと賭博とがいかに分離されているか、 最初からサラブレッドの元として三代始祖が居たのでは無く、産駒が勝ったからこそその血統が残ったのだ、など興味深い項目も多く、実に面白い本でした。

合わせて読みたい


 こちらは、お隣フランスの競馬に関する本。
 マリー・アントワネットとフランス競馬のかかわりなんかについても書かれてます。



 イギリス競馬の事を知りたくなったのはこの本がきっかけ。競馬がらみの話が出てきてたんです。
 で、「競馬の文化誌」を読むとこの中で取り上げられてるのがどういうのかなるほど、とわかりました。
 ウッドハウスコレクションの最終巻。


 といった所で今回はここまで。

*1:初出は同著者の「ダービー卿のイギリス」(1997年)ダービー卿のイギリス―競馬の国のジェントルマン精神 (PHP新書)だそうです。