あるとき小島さんがなにかの色紙サイン会にでていると、サインを待ってる人の列に自分の父親が並んでいた。
びっくりして、「どうしたんだ、おやじ」というと
「知り合いから、おまえの色紙を頼まれたんだがな、お前はいつも締め切りで忙しいから、こういうときがいちばんいいと思った」といったそうである。
山本和夫「漫画家 この素晴らしき人たち」P41より。
小島功のお父さんという事は、明治生まれの江戸っ子でしょう*1。
なるほど、と膝を打つようなエピソードです。
身内であることに拠らず、さりとて頼まれごとには応じる。
小気味いい話です。
このエピソードが掲載されていた本
この本は、週刊漫画サンデーの編集長であった山本和夫が、「陸奥新報」に1994年9月から1996年9月まで週一で連載したものを纏めた*2もの。
紹介されてるエピソードは、雑誌の傾向的に大人漫画家が多いけど、わたせせいぞうのデビュー時・兼業漫画家時代、手塚治虫の「一輝まんだら」打ち切り時の話なんかもあり面白い。
ちょっと出版社の主張が造本に入りすぎと言うかウザ目ですが、内容とは無関係なのでそれはいいか。
残念ながら発行元のサイマル出版会が倒産してしまった為、古書流通のみになるけど、面白い本なので興味がある方は読んでみてはいかがでしょうか。
といったところで今回はここまで。