さて、以前の記事 週刊少年漫画雑誌はここ30年くらい値上がりしていない - 情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明 で何ゆえ「週刊少年」漫画雑誌と書いていたのかといえば、その昔、週刊少女漫画雑誌というものが存在していた為なんですね。
この記事のためのサンプル探しで何冊か少女の方もあったのですが、充分なサンプルというには足りず、また古く、ということで除外しておりました。
今回取り上げるのは、その時に出てきた週刊マーガレット1980年12号。*1
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表紙と目次とピンナップ
目次より
表紙 絵・岩館真理子
表紙は経年劣化とシミで上の方が茶色っぽい斑点状に少し変色。
表紙をめくった1枚目にジュリーこと沢田研二のピンナップ。JULIE is the BEST!
「TOKIO」*2での衣装。
これですね、多分。
新曲ごとに、衣装と振付けが話題になるジュリー。なかでも「TOKIO」のそれはピカイチだ。
あざやかな赤のジャケットとブルーのスラックスは“未来の宇宙戦士”をイメージして作られている。
スラックスの両サイドには約100コの電球、ジャケットの両肩には赤のパトロールランプ、胸には7色の電球と10本のストロボ、というこりようだ。
金色のクツをはき、背中からは2本のアンテナがとびだし、直径5mの紅白のパラシュートが後ろに広がる。
全部で13kgという重さ。2か月間かかって作られ、かかった費用はなんと250万円!!片手にトランシーバーを持ち、ポップなメッセージを送りつづける。
後になっておれたちひょうきん族で「タケちゃんマン」の衣装のモトネタともなりましたが、こっちが最初。*3
奥付より
1980年第12号 3月23日号*4
- 昭和55年3月23日発行・毎週一回日曜日発行
- 第18巻 第12号(通巻904号)
- 昭和38年5月20日第三種郵便物認可
- 雑誌 20424-3/26
- サービスねだん 150円
これは分かる方がいたらちょっと教えていただきたいんですが、発売日は「土曜日」でしたっけ?
金曜日に買った記憶があってですね、昔週刊少年ジャンプが「火曜日」発売と表記されていたように、地方によって遅れる為一日遅く表記されたかどうかが分からないんですよ。
どっちだったかなー。
ページ数など
連載作品:18作品
ページ単価は0.472円。これもほぼ0.5円で少年漫画と同じなんですね。
この週の漫画*10
- チャイ夢 (岩館真理子)
- 希林館通り (塩森恵子)
- 翔んでるルーキー! (湯沢直子)
- ウルトラななチャンネル (いかわようこ)
- フレンズ (松本和代)
- 花嫁はだれだっ!? (しやま礼)
- 隼人くん元気? (冨塚真弓)
- チャイニーズ台風 (ひたか良)
- かくれんぼキッス (星野めみ)
- おちこぼれ忍法帖 (弓月光)
- 危険がいっぱい (森川タマミ)
- SWAN-白鳥- (有吉京子)
- イラスト・レポ ABBA*11 (石真琴)
- ちびブタプチブー (ところはつえ)
- おっと失礼! (葉月シモン)
- ぐーたら一家 (土田よしこ)
- 白球を叩け! (柿崎普美)
- 星にとどく樹 (柴田あや子)
現行品で手に入るのは僅かに3作品*12。詳しくは後述。
巻末コメント
目次ページには各漫画家の巻末コメントが載ってます。
このへんは週刊少年ジャンプと同じですね。
- 渋谷ジァンジァンで中村伸郎主演の「授業」*13をみた。しばいは初めてだったけど感激<真理子>
- ついにビデオデッキを買いました。録画第1号は、ウディ・アレンの「ボギーおれも男だ」*14<恵子>
- 最近、猟銃の免許をとって、射撃場に通いたいなあと、ひたすら考えておるのです。<直子>
- TVの相撲中継*15を録画するために、ビデオ買っちゃったの。今から春場所が楽しみ<ようこ>
- TVで「暁の7人」をみて感激。こんどは、ぜひ映画館でみてみたいわ!*16<和代>
- 池波正太郎の「西郷隆盛」を読んで、激動の時代、幕末の研究にいそしんでおります。<礼>
- ストーブの油タンクに水がたまって、暖房がストップ。寒さにふるえています。<真弓>
- 美容と健康のために、毎日ワカメ茶を飲んでいます。とってもおいしいのよ!!<良>
- 実家のお店番をしていたら、中学時代の同級生とばったり!なつかしかったわ。<めみ>
- 息子の××*17もはや3ヶ月。ぼくに似て、とってもかわいいよ。目の中に入れても痛くない<光>
- 10か月の月賦で、オートバイを買ってしまったのだ。ワオッ!でも免許はまだなの。<森川タマミ>
- がんこなかぜも、やっと退散。もうすぐ春ですネーッ!*18心がうきうきしてきます。<京子>
- イラスト・レポ初登場。ギンギンにがんばりまーす。応援してくださいネ!<真琴>
- わたしのジョギングのコースは痴漢の名所。でも、わたしは会ったことないの、なぜ?<はつえ>
- 運動不足なのでスケートに行こうと思ってます。長野できたえた本場じこみ!<シモン>
- 今シーズンになって、スキーに2度行った。雪やけで、顔は真っ黒。スキーギャルよ。<よしこ>
- 近所のネコが、毎晩、家のネコにラブ・コール。ネコでさえ恋人がいるのに…。グスッ<普美>
- 部屋の中で、毎日柔軟体操をしています。まだまだ体は、やわらかいのよ。<あや子>
この頃のビデオデッキは高級品。20〜30万円くらいですかね。
言葉遣いが女っぽいというか、わざとらしい感じもありますが。
あとはカタカナの使い方がやはりあの頃っぽいというか。
個々の作品と作者について
作品よりも作者に関する解説の必要が多いかも。
現在新刊として手に入る作品が少ないし、漫画家も名前が変わっちゃったり、最近あんまり描いてない人も多いのです。
現役で連載を持ってたり、ここ5年以内に単行本を出してたりする漫画家は18人中9人かな。
作品が新刊で手に入るのは3作品。*19
- チャイ夢 (岩館真理子)
- 全1巻。絶版。ISBN:4088505581
- 作者はレディース系を中心に現役で活躍中。*20
- 特に解説の必要なしかと。
- 希林館通り (塩森恵子)
- 全8巻。文庫版全5巻が入手可能。ISBN:4086171953
- 作者はレディース系を中心に現役で活躍中。
- 説明要らないでしょうこれも。
- 翔んでるルーキー! (湯沢直子)
- 全12巻。絶版。後半巻がキキメになってしまってるのか、妙にプレミアついてる場合があるようです。
- 最近はハーレクイン系?よく分からない。同姓同名の別人なのか?ISBN:4253161383
- バレーボールコメディ。同じキャラがシリアス顔になったり崩れたり、伊賀野カバ丸みたいな、で伝わるでしょうかやきそばパン。
- 本来ならばこの年はモスクワオリンピックで日本大活躍、てなはずだったんですがボイコットしちゃったんですよね。
- ウルトラななチャンネル (いかわようこ)
- 全一巻?ショートギャグ。
- 作者の消息は不明。今何なにやってんでしょうか
- 芸能界ネタっぽかったような・・・。
- フレンズ (松本和代)
- 全1巻。絶版。ASIN:4088505123 ルンルン乙女チックまんがだそうです。
- この人もその後はわからない。
- 好きな男の子に呼びかけられて目の中が★ですよ。
- 花嫁はだれだっ!? (しやま礼)
- 全1巻。絶版。ASIN:4088505042。
- この人も1978年〜1981年くらいに色々描いてたけど、その後は不明。
- これも顔がりりしくなったり崩れたり。男性はあんまし崩れないのですが。
- 隼人くん元気? (富塚真弓)
- 全三巻。絶版。これは普通の値段。ASIN:B00007CFOJ
- 1970年代後半〜80年代中盤まで活躍していて、その後あんまり見かけない、とか思ったら2005年に単行本が出てますね。*21同じ人か?
- 幼馴染と一緒の高校でなんとかかんとか。
- チャイニーズ台風 (ひたか良)
- 全2巻。絶版。アマゾンではセットが50円から。ASIN:B00006LOTP
- 現在は原作付きのミステリーの漫画化や、BL系などで現役で活躍中。(本人のサイト>http://www5a.biglobe.ne.jp/~usagi-ya/)
- 中国からの転校生が番長に一目ボレ、同じくほれてるスケバンとオカマととりあって、とかそういうコメディ。
- かくれんぼキッス (星野めみ)
- 全8巻。文庫版全4巻が入手可能。ISBN:4086175665
- 作者はレディース系を中心に現役で活躍中。
- ラブコメです、ラブコメ。てれくさい。
- 危険がいっぱい (森川タマミ)
- 全5巻。絶版。ちょこっとプレミアついてるのかな。ASIN:B00006LNLC
- この人もその後はわからない。
- ギャグ漫画というかコメディーというか。こういうノリの、なんていうんでしょうね。
- SWAN-白鳥- (有吉京子)
- イラスト・レポ ABBA*25 (石真琴)
- 単行本になるようなのじゃないんで未収録。「・・・デ〜ス」っていうのが良いですね。
- この人も消息不明。というか、この後もこの名前で活動してたのかなあ?
- ABBAといえば、ハッチポッチステーションの「おはなしゆびさん〜ダンシングクィーン」を見ていた子供は意味が分かったんだろうか。*26
- ちびブタプチブー (ところはつえ)
- 全2巻。絶版。ASIN:B00007C7QD。なんか、この作者のどの作品も無茶なプレミア価格付いてるけどそこまでのもんじゃないと思うんですが。
- 同じ作者の「たんぽぽたん」ってのが1994年に出てますね。(ISBN:4088537416)ここにも「たん」の系譜が。
- 1970年代前半から1990年代前半に動物ショート漫画や4コマを(後の方はたまーに)描いていたけど、こちらも消息不明。
- 動物ショートコメディかな。
- おっと失礼! (葉月シモン)
- 白球を叩け! (柿崎普美)
- 全4巻。絶版。そこそこプレミアつきみたい。ASIN:B00007C9DC。
- 現在も(寡作ではあるけど)ハーレクイン系で活動中?最新の単行本が2001年。
- 熱血卓球漫画。若桜木虔原作。
- 星にとどく樹 (柴田あや子)
- 全2巻。絶版。
- 現在もハーレクイン系で活動中。
- 結構シリアスな話。
やっぱりどの作品も髪型や服装なんかが古いですねー。
特に男性の髪型が長髪ともフォークシンガーとも付かない様なのが多い。
余談
週刊だったことのある少女漫画誌は3誌で、各誌が週刊だった期間は以下の通り。
最盛期には少女コミック、少女フレンド、そしてこのマーガレットの3誌が競合していたのです。
しかし、3誌が競合していたのは1970年〜1974年のわずか四年間。この号の頃にはマーガレット1誌のみが週刊少女漫画雑誌だったんですね。*29
また、集英社の少年少女向け雑誌としては「少年ブック」「少女ブック」「りぼん」があり、少年ブックが月刊少年ジャンプに、少女ブックがマーガレットになったということもあり、姉弟誌とも言える月刊少年ジャンプ休刊という出来事はマーガレットの隔週化と同じくらいに大きなポイントになるのかなあ、などと。
といったところで今回はここまで。
※当ブログの関連記事
去年の記事まとめ内の「古雑誌」関連など:http://d.hatena.ne.jp/./soorce/20061231
過去記事一覧を[古雑誌]で検索:http://d.hatena.ne.jp/./soorce/archive?word=%2a%5b%b8%c5%bb%a8%bb%ef%5d
#記事、欄外の色々や自社広告、広告に関して等はまた今度。
*1:9号も一緒に出てきたけど、連載が殆ど変化無いので、広告や山下和美のデビュー後1作目などをあとで少しだけやる予定
*2:アルバムは1979年11月リリース、シングルは1980年1月1日リリース
*3: こんな感じで光ります。
*4:発売日は2月23日。次号予告で、13号の発売日が3月1日(土)となっていること、この年が閏年であることより
*5:表紙・裏表紙含む
*6:+2ページは目次のページカウントに入っていない自社広告
*7:表紙・目次・漫画賞やプレゼントの募集・発表を含めて
*8:4色カラー4ページ
*9:次号予告、単行本広告を含めて
*10:この号での掲載順どおりです
*11:2文字目は左右逆のB
*12:希林館通り、かくれんぼキッス、SWAN-白鳥-
*13:soorce註:1972〜1983年の間、ジァンジァンで毎週上演されていた。
*14:soorce註:1972年作品。未DVD化。カサブランカを知らないと面白くもなんとも無い
*15:soorce註:千代の富士が活躍し始めたのがこの頃か。
*16:soorce註:1975年作品。未DVD化。この頃はビデオの普及率が低かったこともあり、多くの作品が2番館、3番館と呼ばれる映画館などでリバイバル上映されていた
*17:soorce註:普通に名前が書いてありましたが伏せます
*18:soorce註:「春一番」はキャンディーズの1976年のヒット曲
*19:同じ集英社の週刊少年ジャンプでは、14人中10人(鳥山明は漫画家としては現役か微妙ですが)が現役で、7作品が新刊で手に入るってとこですか。1980年週刊少年ジャンプ
*20:ファンサイト>http://park18.wakwak.com/~yako/iwadate.html
*22:なぜかこの辺の作品はいきなり文庫で出版されて、新書版の単行本は出ていません
*23:ASIN:B00006LMI5 、ASIN:B00006LMI6(オリジナルのマーガレットコミックス版もあるけど、結構高価いので秋田書店版で良いと思う)、ASIN:B0000BX7B6、など
*24:これらを纏めて「SWAN」とだけ表記されることも
*25:2文字目は左右逆のB
*26: モトネタの方
*28:だってこんな感じの植田まさしフォロワーですよ? http://www.chugoku-np.co.jp/c-hanb/manga/anzu.html
*29:マーガレット出身の漫画家などについてはkeyword:マーガレットを参照