情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
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2019年のコミック市場は鬼滅効果で単行本は紙も電子も伸びた。が、紙の雑誌は数も部数も減少止まらず200誌割れ&2億部割れ。



 2019年、コミック市場全体は前年よりも12.8%の増。
 紙のコミックスが約5%、電子が30%増。


 鬼滅の刃が、紙で2000万部(増刷合わせで)、電子と合わせて累計4000万部にも達したので、紙はほぼその分の増です。
 紙だけ2000万部、つまり93億円くらい、電子版含めると4000万部との事なので、小説やら併せて本だけで200億円分くらいの効果があったと考えられますね。
 アニメ関連やグッズとかも考えると……?


 全体としては、電子の伸びのおかげで2004年と同水準まで戻っています。
 そして、紙の雑誌+単行本の総計よりも、電子の総計の方が金額的には上となりました。
 

 ということで、出版月報2020年2月号、特集「コミック市場2019」に掲載されたデータなどより。


2019年の簡単なまとめ

  • コミック市場全体の販売額を見ると、前年より増
    • 紙コミック増は鬼滅効果
    • 電子は増加が続いてる
  • 単行本+雑誌でも電子が紙を超え、差を広げてる
  • 紙の漫画雑誌は、まだまだ下がり続けてる。前年比12.4%減。販売部数は2億部を割った。(最大時は13億4千万部)
    • 銘柄数も減って、ついに200誌割れ
    • 電子版漫画雑誌は、集計からも外された。売れてない&実態不明か。
  • 紙の単行本点数は微減、電子のみの単行本が増加


2019年販売金額(億)販売部数(万冊)
雑誌(紙)72219,936
単行本(紙)1,66529,960
電子(雑誌+単行本)2,593-

 雑誌(電子)だけの数字は無くなり*1、電子に一本化されています。

 以下、データは出版月報からの引用になります。


 全体の販売金額は、紙は雑誌・単行本計で1.0%減。
 電子は29.5%の増。
 全体で12.8%の増。


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 紙の雑誌は全体で722億円。単行本+電子の1/6位という事になってます。


 雑誌が無ければ単行本も出ない、のではありますが、ここまで差がつくとなんかおかしいよねえ。


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 全体総計見て、この伸びがほぼ鬼滅ってのがね。


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近年の傾向と電子コミック


 紙での販売部数・販売金額は、雑誌激減、単行本は増。
 紙の雑誌は昨年比でさらに10%以上落ち込んで、24年連続のマイナス。
 2016年の3億部割れから、わずか4年で2億部割れです。


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販売部数雑誌計(万冊)前年比単行本計(万冊)前年比
201439,75590.2▼44,038100.4△
201534,78887.5▼40,25091.4▼
201629,90085.6▼37,02192.0▼
201726,59888.96▼31,60885.38▼
201823,51188.39▼28,92391.51▼
201919,93684.79▼29,960103.59△


 販売金額を見ると、電子の伸び方の凄さがやはり。


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販売金額紙雑誌計(億)前年比紙単行本計(億)前年比
20141,31391.3▼2,256101.1△
20151,16688.8▼2,10293.2▼
20161,01687.1▼1,94792.6▼
201791790.26▼1,66685.57▼
201882489.86▼1,58895.32▼
201972287.62▼1,665104.85△


 単行本の販売部数は、1000万部増えてるんですが、鬼滅の刃が2000万部なので、それ以外で1000万部減ってる、という事ですね。


 電子コミック市場はさらに伸び、1年で500億円以上の上積み。
 コロナの影響で2020年も乗り換え加速が進むのかも。
 新刊は電子で買う、まとめ買いもする、過去作も買える、とメリットがやはり大きいか。


 電子雑誌はついに単独集計なしになってしまいました。
 実際、定額制やポイント制、待てば読めるのとか広告モデルとか、実態がわからなさそうではあります。





電子コミック(単行本+雑誌)販売金額(億)前年比
2014887121.34△
20151,169131.79△
20161,491127.54△
20171,747117.17△
20182,002114.59△
20192,593129.52△



コミック文庫とコンビニコミック


 コミック文庫は33.2%の激減。そもそも新刊を出さない所も増えてるらしい。
 コンビニコミックは21.1%の大幅減。電子でまとめ買いセールなどをやってるのを見ると、コンビニで買って行くのもそりゃあ減るわなと。



雑誌銘柄数と、単行本の点数


 紙の雑誌は、200誌を下回り、199誌。
 昭和の終わりと同じくらいの数になったので、平成に増えた分が全部消えたとも言えそう。


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 単行本の年間新刊点数は、流石に上げどまって、昨年よりも172冊減りました。
 200P平均として、12か月で割ると月2900P減。500Pの月刊誌6冊分で紙雑誌の減少数とほぼ合致しますが、今はWEB連載も多いし、さて。
 それでも月1000冊超えているのは変わらないし、電子のみで発売されるものを含めると実際の点数は増えているかもしれない、くらいか。
 単話売りとか、一定期間無料とか、電子ならではの展開もあるのですよね。


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雑誌銘柄数前年比単行本新刊点数前年比
201425291.3▼12700104.4△
201523794.1▼1256298.91▼
201623197.5▼12591100.2△
201722597.4▼1246198.97▼
201820591.1▼12977104.1△
201919997.07▼1280598.67▼


 電子雑誌、漫画アプリ、WEBサイト連載、SNSで発表されたののまとめ、など「商業として描かれる漫画の総量」は増えてそうなんですけどね。
 

 雑誌種別を見ると、まんべんなく減ってる、というか。
 2019年に入ってからの休刊も考えるとまた。



種類201420152016201720182019
少年向け272828282828
少女向け353333322928
青年535047464442
レディスコミック534747454244
4コマ202020191514
パチンコ・パチスロ1098755
BL161616161513
趣味・スポーツ・その他775544
成年312727272321
合計252237231225205199


電子の動き


 紙で品切れになった鬼滅が電子で売れたのが大きい。
 異世界もの(なろう系)が電子で強いのは変わらず。
 進撃の巨人のセールでの押しは強し。
 雑誌バックナンバーセールも効果大。


 漫画アプリのTVCMでの波及もある。
 出版社のレーベル化による効果も。


人気作品


 メガヒットは、もうとにかく「鬼滅の刃」です。
 2019年内に紙で2,065万部刷られ、電子との累計で4000万部。社会現象です。
 雑誌連載は最終回を迎えていますが、最終巻発売は2020年末なので、まだこの効果は続くでしょう。

 



 「約束のネバーランド」「Dr.STONE」「BEASTARS」「五等分の花嫁」などアニメと合わせて好調。
    


 「ONE PIECE」「進撃の巨人」「名探偵コナン」「キングダム」「ザ・ファブル」「かぐや様は告らせたい」は継続して好調。紙も電子も売れてる。
   
   


 ドラえもん「0巻」が発売前に重版かかるくらいにウケた。自分も買ったのですが、藤子F先生の凄さが改めてわかりますわ。
  


 WEBからのヒットとして、「SPY×FAMILY」「おじさまと猫」「極主夫道」。「恋と弾丸」は電子で売れてから紙もヒット。
   


 少女・女性向けは「思い、思われ、ふり、ふられ」「夏目友人帳」「コーヒー&バニラ」「さよならミニスカート」「凪のお暇」「はじめて恋した日に読む話」など既存作品が強い。


      

おわりに


 メガヒットが1作品出ると、本当に大きい。
 ただ、すでに連載は終了してるのですよね。
 鬼滅ロスの影響はどれだけか。次にこれだけのが来るのかどうか。


 そして、紙の雑誌は200誌、2億部を切ってしまいました。
 WEBやアプリでの連載からのヒット作も出てはいますが、まだまだ厳しそう。
 残るのはどれか、という段階に来てるかと思います。


 2020年はコロナの影響がどう出るかというのもあるのですが、雑誌マイナスは変わらず、電子プラスが加速するという事になりそうです。
 電子で読むのが若年層にも定着すれば全体としては伸びるのか?


 漫画の未来は、いったいどっちだ。



 といった所で今回はここまで。


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*1:あまりに小さいので