情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明


漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

漫画とかのランキング本は、「自分と好みの近い選者」を探す参考にするといいと思う


結論

 「このマンガがすごい!このマンガがすごい! 2009や「このミステリーがすごい!このミステリーがすごい! 2009年版このライトノベルがすごい!このライトノベルがすごい! 2009の様なガイドブックでは、総合順位だけ見ても、新たな「自分にとって面白い作品」を探す参考にはなりにくい。
 なので、総合ランキングよりも「自分と好みの近い選者」を探すのに使うといいと思う。



理由


 以下は基本的にオトコ編の話です。
 つーかね、総合順位のみで話をする・あげつらうことにはあまり意味が無いと思います。
 変な例えだけど、自分が和食好きだとして、「料理人が選んだおいしい料理店」みたいなガイドブックでイタリアンのシェフが多く選んだ店に行こうと思うかっつー話ですよ。



 今回のアンケートの回答者は全部で79人。その全員が一致して同じ作品を選んでるわけじゃありません。


 今年オトコ編一位をとった作品で言えば、アンケートで1位に選んでる選者は10人。
 2位6人、3位6人、4位0人、5位3人、6位2人、と全部で24人。
 アンケート回答者79人のうち69人は、最高位には別作品を選んでるし、55人は選に含めても居ないんです。


 大体ですね、今漫画の単行本って(再刊なんかも含めて)月に700冊以上出てるんですよ。*1、1冊200ページ平均で14万ページ。点数で年8000点以上。
 再刊や再編集やアンソロジーなんかを抜かしても10万ページ強。
 漫画雑誌も、200〜250誌、月に直して10万ページ近く*2出てる。
 全部はどうしたって読みきれない、だからこそ「オレのまだ知らない面白い作品があったら教えてみろ」、という需要があるわけです。


 なので、1位の作品はどうもなあと思った方でも、他の55人には趣味の近しい、参考になる情報を与えてくれる人が居るかもしれない。

方法


 じゃあどうするか。まず一度本を閉じて、

  1. 自分なら選定条件*3内で何を選ぶか考える
  2. それと一致する作品を(より多く)選んでる選者を探す
  3. その人が挙げている作品に、自分が読んだことの無いものがあれば読んでみる
  4. 既に全部読んでるなら、その人のブログやら読んでみて別のオススメ作品を探す


 みたいな方法が考えられますね。*4
 そもそも、自分がまだ読んでいないオモシロ作品を知りたいという需要があればこそ、このテのガイドブックが存在するわけですし。


余談(あとでもう少し細かく書くかも)


 でも偏っていませんか、というのについては、たまたま今回はそうだったということかなと。
 私が考えてるのをざっくり説明すると


 漫画雑誌や作品にはターゲット読者層っていうのがあると思うんですが、こういう感じの四象限で表せそうだと考えています。
 (本当は、少年・男性向けと少女・女性向けという奥行き軸があるけどそれはちょっと無視)
 読みづらいですね。上から時計周りに、老、年令高、オタク、マニア、年令低、若、ライト、ヤンキー


 


 横軸は、「ヤンキー←→オタク軸」、または「ライト←→マニア軸」。
 縦軸は、「年令高低軸」もしくは「物語へのスレ方軸」。少年寄りとオヤジ寄り、みたいな捕らえ方とは少し違います。


 各象限をつきつめていくとすると、


 


 A.サブカル的方向
 B.萌え方向
 C.ヤクザ方向
 D.バトル方向
 みたいな言い方になると考えます。(呼び方は適当です。もっとしっくりきそうな言葉があるかも)
 例えば、週刊漫画ゴラクは左上側、電撃大王は右下側。




 上下左右の中心に近いほどより普遍的・読者が多くなるイメージです。
 ニュートラル、天元、5の五、センター、中心にあるのは、雑誌では週刊少年ジャンプ、作品でいえば「ONE PIECE」かな。
 一番多くの人が読んでる*5わけですからね。


 少年誌だと、ジャンプ・サンデー・マガジンの位置関係はこんな感じ。
 


 チャンピオンは・・・・もっとバラケて纏まってない感じ。B-C-Dと中心に散らばっちゃってる。私の能力だとちょっと図に描けません。




 モーニング系列の雑誌で言うとそれぞれこういうターゲットイメージ(私の勝手な解釈ですよ)
 


 「M2」が聖☆お兄さんの掲載されてるモーニング2ね。この辺中心に見てると、パチスロ漫画だとかコロコロみたいな児童漫画はもう範囲外、眼中にナッシングですよね。



 で、「このマンガがすごい!」なんかだと挙げられる作品範囲がこんな感じに分布してないか、みたいな話ですよね。

 



 ・・・そうでもないんじゃないかなあ。
 上位に入ったのはその辺多いけど、選者の選んでる作品見るとA〜Cまでかなり広く挙げられてますよ。
 そこはたまたま弾幕が厚かったというか、そこらへんを中心軸にしてる選者が多めだったってことでしょう。



 ただ、まったく逆方向、2番目の図でのDに属する作品はほとんど皆無なのは確かです。


 この辺に属する作品も色々ヒット作はあって、例えばヤングキングで連載されている柳内大樹ギャングキングギャングキング 13巻 (13) (ヤングキングコミックス)は13巻までで500万部以上、月刊少年チャンピオンで連載されている高橋ヒロシのWORSTWORST 1 (1) (少年チャンピオン・コミックス)は20巻までで累計2800万部も出ています。*6
 でも、どの道それについて選ばれていない、という声もネット上では見えにくいのであんまり関係なかったりします。
 やっぱり、その題材故か「漫画オタク」的な評価・ネット上での評価というのはあまり見えない*7のですね。
 面白いんだけどね。


 ということで、情報が総合順位だけならそこから批判も起きるよなとは思うけど、もったいないよなあ、くらいですね。
 見えない部分もあるんじゃないのかなー、とは思うけど、それは当人の選択だからしゃあないよね。

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#選者で一番年下は小学2年生&6年生コンビ(平均年齢10歳)、一番年上は長谷邦夫の71歳、かな?

*1:参考:http://www.taiyosha.co.jp/comic/

*2:参考記事:2007年現在、1ヶ月間で雑誌に掲載される漫画は10万ページを超えている でも今は10万ページ切ってると思う。

*3:2007年10月〜2008年9月に、単行本が発刊されたものが基本。単行本で8000冊以上、雑誌ベースで100万ページ以上。

*4:マツリセイシロウ漫魂 5巻発売中で『みんながそれぞれに「俺のフルコース」みたいなのが有る』って上手い表現なさってますな

*5:売れている

*6:これは、週刊少年誌の大ヒット作品に並ぶか、それよりも上くらい

*7:とはいえ、mixiのコミュニティはどちらも大規模で、聖☆お兄さんの3倍以上の規模だったりするのですが