今月の16日に、ハチワンダイバーの21・22巻が2冊同時発売になります。
珍しいことに丁度1年前に発売された16・17巻も2冊同時発売でした。
なのでどっちも2枚使い合体表紙。
ハチワンダイバーの場合、1年に雑誌掲載される作品のページ数+おまけページで単行本5冊分になるけど、単行本の発売間隔が3ヶ月に1回の年4冊ペースなのでこういうことが出来るんですね。
(これ以前は間を詰めて調整してました。週刊の場合、休載でそうなるか、そういう調整する場合が多いかな)
漫画が雑誌に掲載されてから単行本になるまでのタイミングって、出版社・レーベル・作者・作品とどこでそれが変わるのかは曖昧ですが、結構色々あるんじゃあないかと思います。
おおまかに
- 普通
- 遅い
- 早い
- 特殊
って感じでしょうか。もちろん
- 出ない
ていう最悪のパターンがありますがそれは考えないとして、ですが。
自分が考えてる分類毎に具体例挙げてみると、
普通
普通って言い方も変ですが、雑誌連載で単行本1冊分溜まったら、数ヵ月後に出るパターン。
順序は入れ替えなく、単行本での追加要素が入ったり、絵が書き直されたりはするけどそこまで大幅な修正は少ないようなの。
- 週刊なら、19ページ×10回(ジャンプ)、20ページ×8回(チャンピオン)、18ページ×10回、など2〜3ヶ月に1冊。
- 隔週なら、24ページ×8回で4ヶ月に1冊くらい。
- 月刊だと、32ページ×6回で半年に1冊くらい。
ギャグ・ショート・4コマなどページ数が少ないものだともっとかかります。
単行本の最後に載ってる回から3〜4ヶ月くらい後に出るのが普通、かなあ。
例えば、ONE PIECEの最新63巻は626話まで収録してますが、ジャンプ載ったのが5月末。
結局、雑誌の最新話と単行本最新刊発売日で間に1冊分位あるって事ですね。
休載が多いとかシリーズ連載とかじゃないかぎり、ある程度人気が有る作品は大体同じペースで出ているかと思います。
遅い
出ないかと思ってたら出た*1なんてのや、あの幻の作品が初の単行本化なんてのもありますが、出ることはほぼ確定してるっぽいのに遅い、ってパターンです。
- 意図的に遅らせる
1,2巻同時発売、同作者の単行本を複数出版社で同時発売フェアなど。
最近だと、サンデーの境界のRINNNE、常住戦陣!!ムシブギョー、なんかが1,2巻同時発売をやってました。
新刊として平積・面陳されるときには有利でしょうし、単行本から読んでみるか、というお客に対しては訴求力高いかと。
途中の巻で2冊同時って例だと、冒頭で挙げたハチワンダイバー。
刊行ペースと雑誌掲載の差を吸収してるんですね。
あとは最後の2巻を同時発売か。雑誌掲載という宣伝効果が無くなるのと、間が空くと買い逃しが出やすいから、とかですかね。
両方スクエニの例ですが、「瀬戸の花嫁」「仕立屋工房」は最後の2冊が同時発売。
同作者の複数作品同時発売フェアだと、神原則夫のかほりさん&轟先生とか、講談社と少年画報社で塩野干支郎次フェアとか。
出版社間で発売日を調整したり、プレゼントやったりで、もう少し早く出せる作品を数ヶ月待たせる、なんてこともあるみたいです。
- 単行本の発刊ペースとの兼ね合いで、単行本収録待ちが多い
週刊連載で1冊に10話収録、1年に4冊単行本発行、というペースだと、年に4回休載しても、1ヶ月位ずつ収録されないのが増えていくことになります。
単行本派の人が雑誌で読んでみようかな、と思うと途中が飛び過ぎててわかんなかったりって可能性も出てくるので、2ヶ月連続刊行とか、1ヶ月だけ間に挟んで出すなどの調整が挟まったり。
BLEACHなんかは、49巻以降、4月,6月,8月と一月置きに出て、次は10月。
未単行本化分を一気に詰めて来たな、という感じ。
クッキングパパなんかも一時期単行本未収録が1年半分くらい溜まってたかな。今は結構減ってるはず。
週刊漫画サンデーで連載してる蒼太の包丁、これもう30巻も出てますが、最新巻に収録されてるのって、大体今から1年位前に掲載されたもの。
多分、単行本読者が今雑誌読み始めても、なんでそういう体制になってるのかわからないかも。
とはいえ、刊行ペース上げて追い付くのが良いかって言うとそれもちょっと違うかな。
単行本でしか読んでない人は、ペース早くなると出費増えるし、そろそろ出てるかな的なのでどの巻まで買ったかわかりづらくなるから。
- 描き直し・修正などの為に時間がかかった
これはもう作者次第としか言い様がないのですが、大友克洋「AKIRA」の最終6巻の場合、最終回がヤングマガジンに掲載されたのが1990年06月、単行本が発売されたのが1993年03月(その前の5巻は連載終了後の1990年12月発売)。
3年もかかってます。
あとは、雑誌掲載時に下書き掲載が多かったりすると、挽回のために時間が掛かるとかもあるでしょう。
誰、って・・・今多いからなあ。
- 出版社の都合(?)で出なかった
分かりやすいのだと、手塚治虫の「ブラック・ジャック」ですか。
少年チャンピオンコミックスの24巻が出たの1984年02月、25巻はなんと11年後の1995年10月。
当然、25巻発売時には手塚治虫は物故していますから、原稿が新たに書き下ろされたなんてのはあるはずがない。
刊行自体が一時停止、って場合はどこに入るのかなあ。
再開されるかどうかで変わりそうですが。
どおくまんの怪人ヒイロはつい最近電子書籍として未単行本化部分がまとまりました。
- この単行本の続きが、今発売中の雑誌で読める!
単行本1冊〜2冊分連載→休載→次シーズン
みたいなやり方の場合は「遅い」に入れていいんじゃあないでしょうか。
具体的には、竹光侍や、HUNTER×HUNTERがそうですね。
単行本のみ読んでる場合にはあんま関係ないのかも・・・。
雑誌でネタバレになってるのを回避しにくい?
早い場合
人気作ほど早い、という事はあるでしょう。
でも、単行本作業のために雑誌連載休載は本末転倒ではないかとも思う。
- 最終回が雑誌に載るより早い
WEB掲載作品で、こういうパターンがありました。講談社で「ALCBAIN」など、HXLの一部作品はYahoo!コミックへの最終回掲載日と単行本の発売日が同一なので、一部書店では先行になってました。
- 最終回の雑誌掲載と同じ月に単行本最終巻も発売
これは女性漫画でなんかあったんだけど、えーっと。
雑誌の部数と単行本1冊あたりの売り上げが全然違う(単行本読者が圧倒的に多い)からこそ出来る決断かもなー、とか思った記憶がある。
- この単行本の続きが、今発売中の雑誌で読める!
遅い、の方にもあったけど、連載がコンスタントに続いているならこっちです。
早いのと遅いの両方あり得るんですね。
その前の月に掲載されたのまで収録されているとか、単行本発売時点では雑誌の前号がまだ発売中とか。
結構多くの作品でやってますが、自分が買ってるのだと進撃の巨人、ツマヌダ格闘街、ランドリオール等でやってました。
進撃の巨人は、無理矢理に前号掲載分再録で帳尻合わせてましたが、雑誌に新規読者をって考えなら結構納得。
漫画家さんとしては作業密度上がるから大変そうってのと、休載しちゃったらどうなんの、という心配も。
進撃の巨人なんか、単行本に次巻の発売日まで書いちゃってて、怪我とかしたらどうすんの、とも。
特殊
「遅い」の例とはちょっと違うタイプのもの。
- ストックされている連載分からリミックス
酒のほそ道はここ数年、毎年6月と12月、半年に1冊のペースで単行本が出ています。
その中に、春夏秋冬の季節ネタを収録して夏からの1年・冬からの1年、という様に構成している為、雑誌での掲載順とは異ってます。
凄くアバウトに言うと、01〜48、と一年の掲載作に番号をつけた場合に、
奇数話を夏から順に並べなおしたのが6月発売、偶数話を冬から順に並べ直したのが12月発売、ってとこですかね。
(実際はもっと複雑)
一話完結型作品で他にもこういうことしてるのがあったと思うんだけど、なんだったかなあ。
- 複数の雑誌で並行連載しているのを併せて収録
アオバ自転車店は、ヤングキング・ヤングキングアワーズで並行連載していました(現在は月刊ヤングキングとヤングキングアワーズでの並行連載)
基本的に一話完結型の為、大きな物語上の流れ(結婚関係とか)に矛盾が生じない限り可能、ってことですね。
4コマ漫画でもファミリー系・・・というか植田まさし作品なんかではそういうのありそう。
検証したことないけど。
- 雑誌連載を止めて、途中巻からは描き下ろし
これはちょっと違うかも。雑誌連載リタイヤの場合もあるし。
暁星記、WOMBS、ディエンビエンフーなど。
てなわけで
現在、月に漫画の単行本って700冊以上出てるので、これ以外の特殊パターンも多々あることでしょう。
出版社移籍とかがあるとまたややこしくなったりしますし、ケータイコミックの場合は何時が「連載」なのかもわからないし。
漫画家さんが描いた時点から、って計算も難しいかもしれませんね。
といった所で今回はここまで。
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*1:予言者ピッピとかね