情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

1969年の週刊少年マガジンはこんな感じ その1 基本データと次号予告




 サンデーやった*1んならマガジンもね、ということで。


 1969年の少年マガジンは、100万部を超える発行部数となっており「巨人の星」「あしたのジョー」という梶原一騎原作の2作品を筆頭に、ここからさらに部数を伸ばしていくことになります。
 また、この少し後、1970年代になると読み物や記事は量を減らし「漫画雑誌」へと変貌して行くので、この頃がこういった記事と漫画での紙面構成の最終期と言ってもいいでしょう。
 (これは、後発雑誌の週刊少年ジャンプが「とにかく漫画が沢山載っている」というのを売りにして部数を急伸させたこととの絡みなどもあるかと思われます)



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表紙と目次

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 ■表紙:ベルギー スパ1,000キロレースのスタート(写真:MPS) 背表紙カット/生頼範義 表紙構成/水野石文 表紙製版/山本義見


 また、目次には「ある惑星の悲劇」の反響を伝え、単行本*2発売決定との報が。


奥付より


週刊少年マガジン1969年第44号 10月26日号*3

  • 昭和四十四年十月二十六日発行(毎週一回日曜日発行)
  • 昭和三十四年三月二十六日第三種郵便物認可
  • 第十一巻 第四十四号
  • 編集人 内田勝
  • 発行人 椎橋久
  • 定価七十円
  • 雑誌コード 0654

ページ数など


 連載漫画作品9作品、特集記事12本、他に記事ページ多数。


  • 総ページ数:262ページ*4
    • 漫画作品ページ数:183ページ
    • 記事ページ:62ページ*5
    • 広告:8ページ*6
    • 自社広告:9ページ*7


 漫画は総ページの69%ですが、漫画内に1/2や1/4の広告が入ってるのもカウントしてるんで、面積で言うとサンデーとそんなに差があるわけではありません。



 ページ単価は0.267円。
 オイルショック前なので、現在の半分以下ですね。*8



この週の漫画*9


 各作品のページ数は扉も含めての数字です。

 さいとう・たかを石森章太郎週刊少年サンデービッグコミックとの並行連載。月刊誌でも何本か連載してたはずなので、どちらも月産ページ数は300ページを超えてたんじゃないんでしょうか。
 9作品中、梶原一騎原作のスポーツ漫画が2本、木本正次原作の偉人伝漫画が2本というかなり偏った構成です。



この週の記事*11

  • カラー大特集歌の広場(グラビア)(16P)
  • 決定版宇宙ふしぎ科学シリーズ 宇宙大航法(13P)
  • '69日本GP情報 恐るべき“白い巨人”ポルシェ917(3P)
  • SF怪奇名作劇場 汚れた黄金の島(6P)
  • 超自然のなぞ 死人の魂を宿した少年(4P)
  • 異色記事 星一徹のモーレツ人生相談(2P)
  • イチャモン広場 バカバカスイスイ(1P)
  • おわらいの決定版 パンパカ学園(4P)
  • コンピューター診断 イエスノーテスト(2P)
  • 世界のわらい話 マガジンジョーク(1P)*12
  • 雑学シリーズ へんな学校(毒薬学入門?)(2P)
  • 懸賞特だねガイド ガッポリ特報(1P)*13


 このうち幾つかは、漫画作品の下半分などを使っての記事。
 広告もだけど、今だとちょっと考えづらいですね。
 「星一徹のモーレツ人生相談」は「文責:梶原一騎」となっており、川崎のぼるのイラストも付いています。


 やはり宇宙ネタがあり、石原藤夫・大伴昌司が文と構成、小松崎茂南村喬之・境木康夫・水気隆義・松下ちよしらが挿絵を描いています。
 一ページ参考まで。(そのうち別エントリを書きます)
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個々の作品について


 結構古いんで色々不明な場合も。
 この頃だと既にマガジンコミックスは発刊されてます*14が、連載作のうち2作(インテリ五ェ門、ケネディ)は講談社からは単行本が出ていませんし、単行本化のタイミングも遅めだったようです。





  • インテリ五ェ門 (桑田次郎)(39P)
    • 新連載。「五ェ門誕生す」「五ェ門リトルホイホイ第8惑星へ行く」の2本立て。
    • 宇宙へ飛び出したと思ったら精神病院に紛れ込む、という話で「気ちがい」連発してます。
    • 単行本は朝日ソノラマサンコミックスで全1巻。今はマンガショップから「完全版」が出ています。インテリ五エ門[完全版]+宇宙の放浪者フーテンベラ号 (マンガショップシリーズ (19))
    • 桑田次郎自身は現在、漫画家としてはあまり活動していませんがマンガショップから過去作品が色々復刊されています。短編集が特にオススメ。桑田次郎SF短編傑作集 悪夢の使者 (マンガショップシリーズ (28))桑田次郎アダルト短編集 サングラスをはずさないで (マンガショップシリーズ (117))桑田次郎アダルト短編集2 感覚転移 (マンガショップシリーズ 204)


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 初回のカラー扉はこんな。
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 「インテリ」の文字を拡大してみると、穿孔テープ模様になってます。
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  • あしたのジョー (高森朝雄×ちばてつや)
    • 話数・サブタイトルなし。ウルフ金串戦直後。KCでいうと7巻138Pから。単行本では扉がオミットされてるんで話に切れ目がないように見えます。
    • しかし、この時点ではKCは未発売(1巻が1970年3月発行)なので、読者は連載を追うしかなかったんですな。(この話が載ったKC7巻は1年3ヵ月後の1971年1月発行。現在の単行本発売ペースと比較できないほど遅い。)
    • 単行本は種々出ているので、漫画喫茶や中古でも難なく読めます。あしたのジョー 【コミックセット】 でも あしたのジョー 全20冊セットでも。あしたのジョー (7) (KCデラックス (361))
      • トータルの発行部数って何部くらいなんだろう?
    • 梶原一騎は1987年に死去。ちばてつやは現役ですが、作品の発表ペースはゆるやかになっています。引き揚げ体験談を描くという話はどうなったんでしょうね。

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  • 巨人の星 (梶原一騎×川崎のぼる)
    • 話数、サブタイトルなし。オズマと一徹の大リーグボール2号研究。消える魔球が出る中日戦のところ。明子はなにげなく酷い事を言っている。
    • この時、アニメが放映中。あしたのジョーと並んでマガジンの部数を牽引する両輪となっていました。
    • これも単行本は種々あるのでお好きなものを。巨人の星(11冊セット)
    • 川崎のぼるは漫画最近は描いてないのかな。絵本の挿絵を描いたりはしてるみたい。岩石おばさんとホー―猫の火まつり


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 このページではさいとう・プロの単行本広告が半ページ載ってます。ページ全体と広告のみ拡大。
 これはどういう扱いだったんでしょう。広告料を出してたのか、原稿料と引き換えかで半ページもらったとか。


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  • キッカイくん (永井豪)
    • 話数、サブタイトルなし。
    • これと「オモライくん」というギャグ作品を連載している中で「鬼」「ススムちゃん大ショック」などの短編が入り、1972年にデビルマンが始まるんですね。
    • 講談社KC、朝日ソノラマのサンコミック・サンワイドどれも一時入手困難でしたが現在は文庫版が竹書房から出てます。言葉はどうなんだろう、そのままなのかな?キッカイくん (1) (竹書房文庫)
    • 永井豪は現役。最近は時代劇が多いですか。デビルマンサーガも時々。


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  • 劇画 トヨタ喜一郎 (影丸譲也)
    • 木本正次「反逆の走路」よりとの表記
    • 話数、サブタイトルなし。
    • 伝記漫画で、昭和十年、試作自動車一号ついに箱根を越える、という所。
    • 単行本は、トヨタテクノミュージアムで復刻版を限定販売しています。名古屋近くにお住まいの方は行ってみてはいかがでしょうか>http://www.toyota-ep.co.jp/tcmit_shop/item/002/index.html
    • 影丸譲也は現役。こちらを参照:http://www.k-matsumiya.jp/jkwork.html


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  • ほらふきドンドン (ジョージ秋山)
    • 話数、サブタイトルなし。
    • ドンドン和尚のケチ話。落語ネタ*16も使ってます。
    • 単行本は絶版。電子書籍にもなってません。中古はあるけど高いなあ。肌の色とかがまずいんでしょうか。つーかこれ、国会図書館に単行本所蔵されて無いぞ、どうなってんの。
    • ジョージ秋山はバリバリ現役。ビッグコミックオリジナルで「浮浪雲」を連載中の他、描き下ろし単行本などを精力的に発表しています。私のオススメ近作は「WHO are YOU―中年ジョージ秋山物語」ですね。


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  • リュウの道 (石森章太郎)
    • 第一部第二章?ロボットシティ(その5)
    • ロボットのみが残った都市でアイザックが洗脳(?)されるあたり。
    • 単行本はいろんなバージョンがあるんでどれでも。一番新しいのは竹書房文庫。リュウの道 (1) (竹書房文庫)中古で一番多く見るのはKCDX版かな。
    • 石ノ森章太郎は1998年死去。プロダクションとしては「HOTEL」が増刊ビッグコミックで連載中。


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 当時と比較するに、現在の週刊少年マガジンでは(休載数により前後しますが)25作品くらい連載されていて、漫画作品総ページは毎号400ページ以上。
 そして、連載された殆ど全ての作品が単行本化され、さらに各単行本の発行数も多いだろうということを鑑みると、単行本生産能としてはこの当時の何倍になるんだろう。40倍くらい?そこまではいかないか?
 一年で見て単行本の点数は10倍以上だけど、それは月刊誌なんかも入れてだからなあ。定価が上がってるのもあるし一概に比較は出来ないか。


次号予告

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 拡大画像へのリンク 左  拡大画像へのリンク 右

  • 完全カラー版キッカイ動物園
  • 世界初!カラーでとらえたネス湖怪獣
  • 大宇宙の科学シリーズ「宇宙災害学」
  • 2大スポーツまんが
  • そして新連載が池上遼一「狼は海で死ね!」連載2回目の「インテリ五ェ門」

 となっています。



 「発売日十月十七日(東京都内は十六日午後、一部の地方は二十日) サービス特価七十円」となっており、金曜が正式発売日で、都内は木曜日中、所によっては翌週月曜日、と随分幅がありますね。



 といったところで今回はここまで。
 次回はグラビアとか。


※当ブログの関連記事



#これは背表紙とかの状態がかなり悪かったんで、正しいコレクターの人は見向きしないだろうな、という代物。流石にこの頃ので美品とかなかなか無いですがねえ。
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*1:1969年の週刊少年サンデー その1 基本データと次号予告

*2:ある惑星の悲劇―在東京・広島に於ける一被爆者の記録

*3:発売日は10月10日

*4:表紙・裏表紙含む

*5:表紙・目次を含めて

*6:4C:2ページ、モノクロ:6ページ

*7:次号予告、単行本広告を含めて

*8:関連記事> 週刊少年漫画雑誌はここ30年くらい値上がりしていない

*9:この号での掲載順で

*10:うち4ページは紙面の半分が別記事

*11:目次掲載順で

*12:漫画の下半分を2ページ使って記事

*13:漫画の下半分を2ページ使って記事

*14:参考URL:http://www.bizarrebooks.jp/comiclist/kc1.htm

*15:といっても、連載25回ということではなく、シリーズのタイトルです

*16:うなぎの匂いに小銭の音を払う、とか