1968年〜1970年にかけて、水木しげるの元でアシスタントを勤め、クビになり、その後官能劇画家として活躍。
今は主に似顔絵描きをしているという、土屋慎吾による水木プロ時代の想い出語り青春伝。
元はWEBに掲載されていたとの事ですが、今は無いみたい。
これ、不思議な作品です。
当時の回想録日記で、本人および周囲の感情の起伏が生々しく描かれてる。
影武者として鬼太郎の絵をまかされたり、かなり忙しかったはずなんですが、漫画を描くことよりも女の方が大事ってのを何ページにも渡って描いたリね。
しかし、不思議とみんな愛嬌があるというか。
アシスタントとして雇われた時には、後光まで。
つげ義春、鈴木翁二、佐々岡健二など、同時期に水木プロに入ったり出たりしたアシスタントの姿も描かれますが、なんだこりゃ、ってのも。
最後の方では、アシスタントではあったけど、自分の作品の為に休むのを申し出て、繰り返して。
不義理と我儘の結果、クビになって劇画家としてひとり立ちしていく。
アシスタントのままデビュー出来ないで消えていくって人のことを考えると、その後の大活躍の時期とかあるわけだし、入門時の「ここで二・三年修行すれば」漫画家になれる、という水木しげるの言葉通りだった、とも言えるのですよね。
(とはいえ、この作品にはその「官能劇画の帝王」時代は含まれないのですが。)
泥臭もある青春の回想なんだけど、結果で見ると師匠に恵まれた我儘な弟子でもあり、なのに変に納得させられるさわやかさというか。
馬鹿をやった回想だけどミサワ臭が無い、とでも言えばいいのかしら。