情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

意味が分からない、というか、なんでそれで見に来るのか理解しがたい検索ワードより「たん」「タン」に関して一考。

 「なぎさタンとBJ先生」というキーワードでYahoo!検索をすると、結構上位で引っかかるみたいなんですが、
 表示される内容から探しているであろう物と全然違うって分かるだろうに、なんで見に来るのでしょうか。


 そもそも、この検索は何を探しているんだ。実写版ブラック・ジャック片平なぎさ
 ・・・片平なぎさを「なぎさタン」とは呼ばないですか。


 この「〜タン」って言い方もまあアレなんですが、アイドルは「ちゃん」付けだった時代というのが確かにあって、それに「たん」が混じり始めたのが何時ごろか、ということになるのかなと。
 キャンディーズのラン・ミキ・スーは「ちゃん」だったように思うし、ピンクレディーのミーとケイもそうであったように思います。


 まあ、それは記憶なんで証拠にならないんですが、1983年には、すでに「タン」が使われていた証拠が在るんで、その辺までにはある程度一般化というか使用しても問題ないという認識があったのではないかと。


 週刊少年マガジン1983年51号の次号予告より、森尾由美のグラビア告知。
 

 拡大するとこう。
 

 これより前にアイドルや芸能人に関して使われていた例ってのがきっとあると思うんだけどなあ。


 キャラクターに付けたり、擬人化した物に付与する「たん」「タン」に関しては、キーワード「たん」などに書いたように、ジョージ秋山の「コンピューたん」(1970年)*1が嚆矢かと。

 


 ただ、現在の様になんでもかんでも付けたり使ったりはしてなかったというのはあって、関西弁における「さん」と「はん」の使い分けくらいの緩めの基準があったのかもしれません。


 この辺、だれか詳しく纏めてくれないもんだろうか。

余話 「はん」と「さん」の使い分け


 これはもう桂米朝師匠の書かれた文を引用すれば事足りるので以下に引用。
 上方落語ノート*2より。

 関西弁で説明のしにくいのは敬称の「はん」と「さん」の違いである。


 「さん」と「はん」の使い分けは関西一円で行われているが、小説やドラマでも意外にこの誤りが多いのでここに書いておくが、「さん」の方はいささか丁寧で上品で、「はん」の方はやや下品でその代わりに着易さがある------という位に考えておられる向きが多いようだ。
 しかし、実は関西弁のドラマや小説でよく使われる「お客はん」とか「仲居はん」というような言葉はないのである。


 語尾が、イキシチニヒミイリキヰ・・・・・・つまりイ列の場合には下に「はん」はつかない。すべて「さん」である。また、ウクスツヌ・・・・・・のウ列の場合も「さん」である。人名でも、「おますはん」やら「辰はん」などとは言わない。「おまっさん」であり「たっつあん」である。
 アの列とエの列は「はん」を付けて呼んでもよろしい。また、語尾が「ン」の場合もかならず「さん」である。
 残った「オ」の列、これが実はさまざまであって一概に律し切れない。私の考えでは、この「オ」の列は現在*3まだ過渡期であるように思うのである。古くは「さん」であったのが「はん」も使われ出して、まだ百年も経っていないので、バラバラの用例が見られるというところかと思われる。
 一例をあげると、「いとはん」-----お嬢さんのこと。これは今日では別に不思議な言い方ではないが、明治初期以前では、話し言葉で書かれた小咄本その他でも必ず「いとさん」であった。
 「義雄はん」や「松子はん」は気にならないが、「和尚はん」や「お嬢はん」はちょっと引っかかる。
 けれども、「オ」の列はもう七割以上、「はん」の方にいってしまったと見て良い。


 奥様のことを御寮人という呼び方があるが、これを「御寮はん」というのは大きな間違いで、「御寮人さん」をちぢめて言っても「ごりょンさん」であって、末尾に「ン」が付いているから「さん」でなければならない。


 ならない・・・・・・といっても、別に法則がこうであるというのではない。そのように使われて来たのである。「ごりょうはん」と言うとアクセントは違うが、「御霊さん」であって、御霊神社のことになる。



 ちなみに「京阪乗る人おけいはん」は、発音においては「おけーはん」「おけえはん」とエの列になることが普通なので「はん」でもよいのです。



*1:連載は1969年

*2:ISBN:4790502600 P64〜

*3:soorce註:1975年頃