「歌謡漫画」というジャンルをご存知でしょうか。
って私が勝手に言ってるだけなんで知らないですよね。すいません。
私的定義ではありますが、歌謡曲・流行歌をモチーフ・原作に描かれた漫画のことです。
古くはヤングマガジンでの「歌謡マンガ大全集」など(参考:d:id:soorce:20050930)がありました。
最近また多くなってまして、2003年のヤンマガでの「平成歌謡漫画大全集」を皮切りに、コミックバンチの「My Best Love Song」シリーズ、また、ヤンサンでいくえみ綾が奥田民生の曲を連作でやってたり、ウルトラジャンプで桂遊生丸がSound Horizonの曲を原作として作品を発表しています。Roman 1 (1) (ヤングジャンプコミックス)
一曲、一アルバムの世界からなので、どちらかと言えば掌編〜短編連作といったものが多いのが特徴で、歌手と原曲ファン、漫画家のファンどちらにとっても面白いであろう作品が多く描かれています。
そして、BEGINの「オバー自慢の爆弾鍋」を原作に、天願大介が原作、こせきこうじが作画として漫画化したものがこれ。
(企画として高津祥一郎がクレジットされています。この方、柴田亜美の漫画でご存知の方も多いあの「人斬り高津」さんですよね。)
原曲となったBEGINの「オバー自慢の爆弾鍋」は2002年に出たCD「オトモタケオ2」に収録された曲。
漫画は2007年の11月から2008年の6月まで実業之日本社の週刊漫画サンデーで連載(完結済)。
その単行本第一巻が、先日発売になりました。
アマゾンの書影にはありませんが、BEGINの3人の似顔絵が描かれた帯がついており、BEGINの3人と天願大介、こせきの対談が巻末付録として収録されています。
このBEGIN三人は結構似てる?
もともと少年誌、週刊少年ジャンプ出身のこせきこうじですが、バンチでやってた青年山下たろーくんシリーズを経て、今作がオヤジ漫画雑誌の初単行本となります。
原作付作品としては2作目*1ですが、そのキャラクター造形と絵柄が見事に沖縄とマッチし、新境地*2を切り開いております。
作品に登場するキャラクターは、朴訥・素朴・豪快という何時ものこせきこうじ路線ではありますが、どのキャラも生き生きとしてます。
舞台は1975年の沖縄は石垣島。
主人公はこの石垣島に住む定食屋「じまんや」のオバー。
この作中において最強にして無敵を誇る名物オバー。
そしてそのオバーに使われる、不発弾を材料に作られた「爆弾鍋」の精霊*3。「爆発してえー」が口癖で、泡盛が大好物。
定職を持たずに釣りばかりしている長男朝輝(チョーキ)とその嫁と子供、次男朝将(チョーショー)と双子の妹優子(ゆうこ)。
近所に住む悪ガキ、孫の小学校の同級生、幽霊や内地からの客なども登場し、大きな事件が起こるのでもなく(いや、おきてるか)、しかし楽しく、時に奇妙な物語が展開されます。
そうそう、次巻以降では沖縄の妖怪達も悉くこせきこうじ調になって登場してますよ。
能天気に明るく、まったくもって「ロハス」じゃない沖縄漫画。
ぜひご一読あれ。
#ところで、最近のこせきこうじは意外と女性キャラが可愛いと思うのだがどうか。