先日の少年誌における現在の傾向の続き。
「オヤジ雑誌」という言い方も定着してるのかしてないのかよくわかりませんが、、青年誌というにはオッサン向け、かといって官能劇画誌、時代劇雑誌、つり雑誌にパチスロ誌の様に専門化していない雑誌をこのように総称しております。
例えばビッグコミックと漫画ゴラクでは雑誌の方向性*1がかなり違いますが、対象年齢という点で見ると同じであると考えます。
その為、今回の記事での「オヤジ雑誌」は、週刊漫画サンデー、週刊漫画ゴラク、週刊漫画TIMES、漫画アクション、プレイコミック、別冊漫画ゴラク、ビッグコミック(増刊含む)、ビッグコミックオリジナル(増刊含む)を指すということにします。
雑誌と作品
オヤジ雑誌の場合、ヤンキーものは存在せずヤクザものが多いので、ヤクザとそれ以外に分類してみました。
どこまでをヤクザに分類するかが問題ですし、博徒・神農・渡世人など様々なのですが、それはざっくりです。
ヤクザ系作品としては
ヤクザ以外では
そして、
- 週刊漫画TIMES
- なし
となります。
闇金・殺し屋・バイニンの場合、ヤクザに雇われたり、関係を持ってる場合も多く、作品でも共闘関係にあったりするのですが、主人公や主体としてどちらがメインかで分けています。
野犬はアウトローかどうか、意見の分かれる所ではあるかとは思いますが、一応入れています。
また、漫画雑誌以外で言えば、実話系雑誌でもアウトローネタ漫画が連載されてるのと、コンビニコミックなんかでヤクザ実録系のが出てますが、それはちょっとカウント対象外かなーと。
例としては
とか、コンビニコミックのなんかですね。
傾向
あたりまえなのとそうでもないのと。
- 主人公は中年が多い
- 純粋なヤクザネタは漫画雑誌では少ない
- コンビニコミックや実話系にシフトしてる
- メディアミックスでは、実写が多い
- 「劇画」系の絵は今もう少ない
- 雑誌の中で最長連載が4誌
- ストーリー作品は金・権力のような現世利益を求めるのと、求道者的なのの二極化
- ゴラクは多過ぎる
- コメディとの掛け合わせ多い
- 読切や短期シリーズも多い(例えば、現在発売中のゴラクに掲載されてる、笑う殺し屋@長谷川哲也とか)
また、週刊漫画TIMESには現在そういう系の作品が現在ありません。
参考記事(週刊漫画TIMESの現状の確認の為にヒロイン集合画像作ってみた。)などを見ていただくと判るのですが、かつての劇画路線から現在は舵を大きく萌え方向に切っており、「暴*6株式会社」「女喰い」「黒い太陽」のように闇社会を描いた作品は無いんです。
余談2 オヤジ雑誌の三本柱
週刊少年ジャンプの三本柱は「友情・努力・勝利」ですが、オヤジ雑誌での三本柱は、
「クライム・グルメ・エロス」になると考えられます。
- クライム
- 上の方で上げた「悪」側の話もなんですが、それに対抗する「正義」側、警察や探偵の話も含めて、犯罪がらみネタ全般
- グルメ
- 食に関するネタ。作る側、食べる側どっちも
- エロス
- サービスシーンがあったりとか含め。ただし、「SとM」の様に裸はあってもエロでなし、というものも多い
これらは、少年誌・青年誌にも存在する分野ではありますが、オヤジ雑誌では特に傾向が強いというのと*7、そこにあてはまる人気作・長期連載作が多いということ。
そして、これって「火曜サスペンス劇場」などのTVの2時間ドラマ、Vシネマなどでもメインとなる要素・傾向だということが分かります。
好まれるから生き残ったのか、面白い作品にそういう傾向のが多かったのか、鶏が先か玉子が先かみたいな話ですが、大人受け、大衆受けするネタであると言って良いのでしょう。
ついでに、4本目の柱があるとすると職人・職業薀蓄を含む作品「ジョブ」になると思います。ビッグコミック系なんかはこっちが多い印象。
ただ、これは単独要素ではなく組み合わせとして使われる事が多いんですね。
例えば、アウトロー+ジョブなら「包丁無宿」「ミナミの帝王」、グルメ+ジョブなら「蒼太の包丁」「江戸前の旬」、などというように。
もちろん、「極道の食卓」「極道めし」の様に柱同士の組み合わせも存在しています。
そういえば、女性向け・レディースコミックなどでは子育て・家族ネタ「ファミリー」なのも結構あるのですが、年代は同じでも男女の差というか、オヤジ雑誌には殆ど存在しません。
スポーツ漫画ってのもあんま無いですね。
雑誌ごとに、こういう傾向要素を図式化できないもんかなあ。
レーダーチャートみたくすればいいのかしら。
といった所で今回はここまで。