コンプエースの進め。以下略@平野耕太が「予告編だけ」漫画、とでも言うんですかね。
描かれてないからこそ読者の想像に任されて、なお面白い、というスタイルの漫画でした。
そういう「全部は書かないよ、あとは勝手に想像してね」スタイル、またはそれを逆手に取った小説や漫画ってのがありまして、
ワンダービット@島本和彦の「クライマックスがお好き」、蕎麦ときしめん@清水義範の「序文」、あとは、ファイブスター物語@永野護なんかもそうかな。
そういえば他にも描きたい所だけ!書きたい所だけ!(?)というのがあったなあ、と、この本を思い出したわけですよ。
この「きなきな族からの脱出」は22編の短編が納められているのだけれどすべてが「終章だけ」なのです。
そこまでの経過がどのくらいあったのか、とかは説明も何一切無しで、終章だけ。
ギャグ、ファンタジー、SF、時代劇、ホラー、任侠、スパイ小説・・・のようなものたちの、終章だけ。
もちろん、そもそも以前の章は存在しないし、本来なら終章では書かれない様な説明的な*1文があったりはします。
ひょっとすると全10巻の大長編だったかもしれないし、序章と終章しかなかったのかもしれない。
でも、そういう説明は一切無しで勝手に想像してください、と。
ある意味、投げっぱなし。ある意味、読者を無限に信頼している。本当は読者を試しているのかもしれませが。
和田誠は映画好きで知られてるし、予告編だけ面白かった映画からこのアイディアを思いついたりしたのかなあ、なんて。
まあ、実際のところはどうか分かりませんが。
それにしても、平野耕太の漫画から和田誠を連想する日が来ようとは。
#ここで疑問が一つ。雑誌連載時*2はどういう反応だったんだろうか。