現在発行されている週刊漫画雑誌は全部で10誌。これは、1969年以来の少なさ。
もっとも発行部数が多いのは週刊少年ジャンプで、約270万部。逆に、もっとも発行部数が少ないのはビッグコミックスピリッツで約19万部。
前回、2011年に当時の11誌の状況をまとめてから約4年、出版不況は続き、雑誌も縮小傾向が続いています。
参考記事→2010年現在の週刊漫画雑誌、全11誌の傾向と対策、2013年のコミック市場、単行本は「進撃の巨人」2045万部効果で微増も、紙の雑誌は大幅続落。電子が伸びるも補いきれず。
で、現在発行中の週刊漫画雑誌に関してまとめてみました。
特筆事項抜き書き
- 全誌あわせても、週当たりの発行部数は750万部弱。(ピーク時は週当たり1800万部超のはず)
- スピリッツは20万部切ってて、週刊雑誌としての存続がヤバいレベル。
- グラビア表紙が徐々に減ってるかも。
現在発行中の週刊漫画雑誌
出版社別に以下の10誌。これまでに最も多かった時期には14誌存在*1していたのですが、かなり減っています。
出版社で見ると、講談社が3誌で最多。一ツ橋グループの集英社・小学館が2誌づつ、それ以外が1誌づつ。
モーニングのみですが、電子書籍として同時配信を行っています。
下は各雑誌のHPへのリンク
2014年現在の発行部数順*2に並べると、
- 週刊少年ジャンプ(2,715,834部)*3
- 週刊少年マガジン(1,277,500部)*4
- ヤングジャンプ(598,182部)*5
- ヤングマガジン(545,077部)*6
- 週刊少年チャンピオン(500,000部)*7 (※公称部数)
- 週刊漫画ゴラク(500,000部)*8 (※公称部数)
- 週刊少年サンデー(461,250部)*9
- モーニング(283,218部)*10
- 週刊漫画TIMES(280,000部)*11 (※公称部数)
- ビッグコミックスピリッツ(188,385部)*12
という順。印刷部数・公称部数は一般社団法人 日本雑誌協会か「雑誌・新聞総かたろぐ2013年版」からの数字。
ゴラクとチャンピオンの公称部数は、ちょっと盛り過ぎ感あるけど・・・。
2011年の数字からすると、少年サンデー、ビッグコミックスピリッツはほぼ40%減、ヤンマガも37%減ですか。
週当たりの発行部数を考えると、ピークの1995年には(雑誌数が多かったとはいえ)1800万部以上。
2011年時には週当たり9,210,895部、900万部超発行されていたのですが、現在は7,349,446部と、4年で200万部、20%以上も部数が落ちているという計算になります。
返品率考えると、実売500万部切ってる、つまりピーク時のジャンプ1誌より少ないって事かもしれません。
スピリッツが販売禁止とか隠されてるとかいう妄想を書いてた人がいましたが、そもそもジャンプの1/15、ヤンマガの1/3なわけで、入荷数が少ないという事で。
発売日ならともかく、数日後だと残ってても返品すべくバックヤード行きだろうし。
長期連載
10年以上続いてる作品を考えてみると、前回調べたときから終了した長期連載があるのは、ヤンマガ・ヤンジャン・モーニング・週刊漫画TIMESですか。作者が亡くなって終了ってのも。
他は増えるか続くかですね。
- 週刊少年ジャンプ
- 週刊少年マガジン
- はじめの一歩、金田一少年の事件簿(一応)
- ヤングマガジン
- ヤングジャンプ
- 週刊少年サンデー
- 名探偵コナン、史上最強の弟子ケンイチ(new!)
- 週刊少年チャンピオン
- 週刊漫画ゴラク
- モーニング
- ビッグコミックスピリッツ
- 週刊漫画TIMES
- 解体屋ゲン(new!)、(蔵の宿が終了)
ストーリー漫画の場合、大体連載10年で50巻を超えます。
100巻を超えているとか長い作品に関しては、この記事を参照ください。
発売日と定価
月・木が3誌づつ、水・金が2誌づつ。火曜日はなくなっちゃいました。
定価は、消費税増税が合ったのですが、それを吸収した形でそんなに上がってない。
発売日 | 誌名 | 定価(税込価格) |
---|---|---|
月曜日 | 週刊少年ジャンプ | 255円 |
ヤングマガジン | 340円 | |
ビッグコミックスピリッツ | 340円 | |
水曜日 | 週刊少年マガジン | 260円 |
週刊少年サンデー | 270円 | |
木曜日 | 週刊少年チャンピオン | 270円 |
ヤングジャンプ | 340円 | |
モーニング | 340円 | |
金曜日 | 週刊漫画ゴラク | 340円 |
週刊漫画TIMES | 330円 |
税込価格が上がってないものは微妙に値下げ傾向かも。
全部買うと、一週間で3085円、一ヶ月で12,000円強、一年だと150,000円くらい。
漫画喫茶や中華料理屋の備品としてなら高くもなかろうけど・・・。
電子マネーでの買い物が増えてるの考えると、ジャンプ以外も末尾0円におさめなくていい気がするんですけどねえ。
WEB展開
モーニングが「Dモーニング」で紙の雑誌とほぼ同じ内容を同日配信しているのが一番大きな変化でしょうか。
毎号配信はまだですが、ジャンプやヤンジャンで実験的に電子配信を行った号もありました。
他にも、ジャンプLIVE、裏サンデー、マンガボックス、チャンピオンタップ、となりのヤングジャンプ、モアイ、ゴラクエッグ、とネットやスマホでの無料漫画閲覧を推進しつつありますね。
となりのヤングジャンプからの「ワンパンマン」のような大ヒット作も出て来ていて、この流れはますます加速するのかな。
ただ、WEB連載って締め切りがやっぱりルーズになってる印象がなあ。
ヤンマガは同内容で小サイズってのをやりましたが、あれはどういう結果だったんでしょ。
表紙について
週刊漫画TIMESの表紙から「あの」イラストが消え、漫画作品が表紙になりました。(週刊漫画TIMESの表紙から「あの絵」が消えた)
また、マガジン・サンデーは表紙のグラビア・漫画比率でグラビアがかなり減って来ています。
種別 | 誌名 | 表紙 |
---|---|---|
少年誌 | 週刊少年ジャンプ | 漫画 |
週刊少年マガジン | 漫画・グラビア | |
週刊少年サンデー | 漫画・グラビア | |
週刊少年チャンピオン | 漫画・グラビア | |
ヤング誌 | ヤングマガジン | グラビア |
ヤングジャンプ | グラビア・時々漫画 | |
モーニング | 漫画 | |
ビッグコミックスピリッツ | グラビア・漫画 | |
オヤジ誌 | 週刊漫画ゴラク | 漫画 |
週刊漫画TIMES | 漫画(new!) |
表紙の傾向で並べるとこんな感じ。今週はたまたまグラビアが少ない週ではあるか。
上ほどグラビアが多くて、1段目はヤンマガ、ヤンジャン、2段目は混合、3段目はほぼ漫画作品。
週刊漫画TIMESは、塚本馨三のイラストではなくなってしまいました。
グラビア表紙が徐々に減ってる傾向あり。
下記記事で見比べるとわかるかと。
他誌・他社からの移籍
作家の流動性、というとおかしな言い方ですが、生え抜きや囲い込みというのが薄れているのは確かでしょう。
ジャンプは別。
サンデーでは、スクエニで描いてた大高忍、荒川弘が大ヒットを飛ばし、マガジンでは週刊少年4誌目となる鈴木央がヒット。
ヤンジャンでは、アニマルで描いていた柴田ヨクサル、サンデーで描いてた中山敦司、色んな所でやってたサンカクヘッド、など。
ゴラクはもともと多いけど、休刊したマンサンで描いてたコンビが食漫画をそのまま、男塾など。
・・・と移籍作家の活躍が多い印象がありますね。
メディアミックスなど
アニメ・ドラマ・実写映画と、漫画原作は多々あるのですが、人気作は、スピンオフや何やかやでとことんまでしゃぶりつくして拡散していく傾向が強くなってるかも。
テラフォーマーズとかマギとかクローズZEROとか。週刊じゃあないけど「進撃の巨人」なんかもうね。
連載・休載
少年誌・青年誌でも月イチ連載や、3回掲載1回休みなど、変則的な掲載がかなり許容されてきてる傾向が。(オヤジ雑誌はシリーズ連載とか元々多い)
講談社では以前から多かったんですが、最近は小学館でも結構ある。
「銀の匙」も毎号連載ではないけど、そんなもんだろうと認識されてるし。
ジャンプは、まあ、そういう点では特殊ですかね。
長期休載だと、今年になって喧嘩商売が復活したり、HUNTER×HUNTERが再開するてな、いいニュースもありますね。
こんなところですかね。
縮小傾向がどこまで続くのかは見えません。
電子への移行もそう進まないままに数が減っていくという結果になってしまうのか、別の形での生き残りが上手くいくのか。
漫画雑誌のあしたはどっちだ。
と言ったところで今回はここまで。