何に四苦八苦だったと考えられるかというと、主に対象読者年齢の見極めというか、ターゲッティングです。
「巨人の星」が週刊少年マガジンで連載されたのが1966年〜1971年。
この時点で、少年マガジンは「あしたのジョー」との両輪で100万部雑誌に上り詰め、子供だけが読む雑誌から脱却していってた、というのがまず前提。
大学生の読む雑誌を表した言葉に、「右手にジャーナル、左手にマガジン」てなのが残っています。
その続編である「新巨人の星」は、週刊読売に連載。1976年〜1979年の事。
当初は、コミックス形式の単行本は出版されず、雑誌総集編の様な形で1977年4月〜1979年5月にかけ、全7冊が刊行されました。
これらは、そのうち1,4,7巻に当たる「泥濘の章」「青嵐の章」「新魔球の章」の3冊。
これの付録や広告を見てみると、一体誰が読むことを想定していたのかがどうも謎、というか、混乱してたっぽいんですね。
付録
と、どうやら子供向け。
4巻付録のはがきはこんな絵柄。結構カッコイイ。でもうち1枚はぬり絵仕様。
時間割は「 年 組」を書く様になってるところを見ると、まず小学生向け。
これだけ見ると、ターゲット読者は子供であったか!と思えるわけです。
ところが、広告は子供向けもあれば、大人向けのもかなりあり、アレ?となる
カラー広告
表2、表3、表4がカラー広告なのですが、バラつきがある。
1巻では、表2・表3は同じでプラチナ万年筆、発毛促進剤。大人か。
7巻では、ラジカセ、カーフェリー、野球のカードゲーム。どっちともつかないけど大人?
モノクロ広告
漫画掲載部分では全てのページで下側にバナー広告的なのがありました(赤い箇所に全部)。これはひどい。
の
この赤い所が全部のページで広告。
これがまた、対象年齢がよくわからないままに混在。
1巻では、バットやシューズ、プラチナ万年筆にオロナミンCなど、巨人ゆかりっぽい感じ。
4巻では、ぬりえ、予備校、学習帳、みたいなのに酒の広告が入ってきてる他、「彦兵衛の飛雄馬漬」なんて謎商品も。
7巻では、ホテル、カーフェリー、街の写真館、蕎麦屋なんてのも。
これ、最後は広告取れなかっただけなのか、ひょっとして。
普通のモノクロ広告ページは自社の本なんかが多いからページ埋めにも見えますが・・・。
巨人つながりでオロナミンCとかもありますな。ikuzoのレコード宣伝とか。
自社広告においては「家庭劇画」なんてつけてますが、これもまた苦肉の策っぽいと思えます。だって意味わかんないし。
マガジンでの読者だったお父さんが、子供へのお土産に買って行ったとか考えてみるとどうだろう。
掲載雑誌ターゲット的には合ってたのかしら。
やっぱりなんだかよくわからない。
読者層が広いってのはいい事もあれば悪い事もある、んですかねー。
といった所で今回はここまで。