漫画やアニメの舞台になった土地を訪ねる、聖地探訪ってのが話題になったりしております。
作者が(勝手に)舞台に設定して描くというのが本来なんでしょうが、逆にその土地を盛り上げて欲しい方面から提案が出ることもままあるようです。
じゃあ、何時頃からあったのか。
今から160年位前、1846年頃にはあった、と言って良いんじゃないでしょうか。
「三銃士」や「モンテ・クリスト伯」を書いた大デュマに関するエピソードとして、以下の様に書かれています。
政府は植民地アルジェリアにさらに多くの殖民を誘致したいと考えていた。
「もしデュマに二、三冊この地のことを書いてもらったら、三〇〇万人の読者のうち五、六万人はアルジェリアに対する興味を抱くだろう」というわけで政府はデュマに旅費を与えるのみか軍艦の使用さえも許可する。
「デュマの大料理事典」内 “デュマの生涯” 歴史小説へ―全盛時代 P466 より。
ここでの「政府」はもちろんフランス政府。
観光目的ではなく、移民政策であったとはいえ、当時の大人気作家であったデュマにその土地のことを書いて貰おう、という政治的な目論見だったわけですね。