発表時期としては1830年台だから、170年以上前かもしれませんね。
倒産で損をするのは印税や報酬をもらえなくなる著者・書き手なんかだって話、なのかどうかはちょい微妙。
Expired
同社によると、出版不況が続く中、売り上げ不振やベストセラー不在などで資金繰りが悪化。新刊の出版点数を増やすことで赤字を補填(ほてん)しようとしたが、返本率は約5割にも上り、在庫評価損で当期損失約10億3500万円を計上、債務超過に転落したという。再生に当たって、いくつかの企業から支援の見込みもあるものの、「現段階では先行きはまだ不透明」という。
ゴマブックスは資本金が6億円以上あった大出版社だから少し違うのかも知れませんがね。
ファンダン・カヴァリエ商会というのは、まるで資本らしいものなしにつくった出版会社の一つである。こういう出版屋は当時たくさんできたもので、紙屋や印刷屋が出版という名の運まかせの勝負を七、八回やるあいだに信用貸しをしてくれるあいだはいつでも生まれるだろう。ところで当時においては、今日と同じように、作者の書くものは六ヵ月、九ヵ月、十二ヵ月期限の手形で作者から買取られた。これは商取引の性質上定められた支払方法だった。というのは出版屋たちのあいだではもっと長期の手形によって勘定が行われていたからだ。出版屋はこれと同じ長期手形で紙屋や印刷屋に支払いをしていたから、事実上はその支払をするまでの一年間は一文も出資せずに十二冊ないし二十冊の本を売り出していたことになる。これらのうち二、三冊があたればこれで失敗の穴埋めができたから、出版屋はいわば本を接ぎ木しながら商売を支えていたようなものだ。もし事業がどれもこれも思わしくなかったり、不幸にして彼らが、真の読者によって味わわれ評価された後でなけらば売れないような良書に出くわしたり、彼らの手形の割引きにあまりに金がかかったり、あるいは彼ら自身が破産したりした場合、いささかもうろたえず平然として破産請願をする。あらかじめこういう結果をかくごしているからだ。こうして、どちらへころんでもかれらに好都合にできているので、投機商売の大きな賭博台のうえで、自分の資本ではなくて他人の資本を賭けるわけだ。
(中略)
売れ行きのいい本が一冊あれば山のようにたまった商品をさばくのに役立ったから。また、当時本が売れるための重要な条件、新聞に書評記事を載せるあてを、血まなこになってさがしていたのだ。ある本がそれ固有の価値のために買われることはごく稀なことだし、出版されるとしてもほとんどつねに、その本の真価とは無関係な諸理由から出版されるからである。
東京創元社版バルザック全集 1974年9月25日初版、12巻『幻滅』下 第二部 P81〜P82 「パリにおける田舎の偉人(続)」 「第五種の出版屋」より。
ベストセラー不在、あたりなんかそのまんまというか。
今回もまた、原稿料やなんかを待っていた著作者や編集プロダクションの方とかが損をしていると考えると、なんなんでしょうねえ、これ。
ここは違う、よな。
「あの人たちは三ヶ月たたないうちに破産するでしょう。でもわたしはあの人たちのところにいい作品が二つあるのを知っているんだ。これが売れるのにひまがかかってね。
(中略)
一つぐらい本があたってもせいぜい六ヵ月くらいしかもたんでしょう。早晩あそこは破産ですからね。あの本屋は本を売るより酒を飲むほうが多いんですよ!」
同、P88より。
今出てるこれの「メディア戦記」ってのがそうそう外れても無いですよねえ。
人間ってのは・・・。