この前、「オヤジ向けの世界はすごく良く出来ている」というテーマで友人と討論になったんですが、
- 数百人の作家が切磋琢磨=質の向上
- 読切や短期連載中心=質の向上、購入しやすい
- 毎月雑誌20冊+単行本・小説で*150冊出る=作家が生活出来る
- 作家さんは1、2週先すら見えない=読者には新鮮さがもたらされる
- 購入層の財布の紐がゆるい=作家が生活出来る
- 購入層の心が広い=多少問題のある作家も生活出来る、トンデモ展開?面白くない?絵が汚い?古い?なんでもいいよその回インパクトがあれば。
という非常に安定した輪の中で完結しているのですね。
でもそれにも問題があって、
- 力量のある作家さんがオヤジ漫画ファンのみの中で消費される=人気の頭打ち
- ヤクザ・警察・グルメを主軸にするため話のワンパターン化=人気の頭打ち
- 購入者の心が広いのでアレな内容でもそれなりに売れる=質の低下
といった面もあります。
中でも特に私が思うのは、この人は天才作家だと思う人がきちんと評価されてない感です。もちろんオヤジ漫画という時点で、ものすごく読者が限定されるのは分かっているつもりですが、「銀河-流れ星銀-」だの「カイジ」を平気で見ていおて、オヤジ漫画レーベルだからという理由で名作が読まれないのはなんでなの。40代男性の中ですらオヤジ漫画読まない人の方が多いし。お前らヤクザや金貸しの2時間ドラマが大好きなんだろ!読めよ!
実業之日本社とか言う聞いたこともない出版社名なのがいけないのですか。それなら近代麻雀コミックスとか読めばいいじゃない(単行本が完結するかはあまり保証できないけど)。増刊ビッグコミックオリジナルのゆるいオヤジ漫画とかニチブンコミックスの長いオヤジ漫画読めばいいじゃない。双葉社だって徳間書店だって芳文社だって竹書房だって秋田書店だって頑張ってますよ。あ、初めて触れる人には日本文芸社をオススメする。
オヤジ漫画はひっそりこっそりやればいいと思っている人もいるだろうし、私もあまり大々的に喧伝することは良くはないとは思うけど、こうの史代や土山しげるを挙げるまでもなく、数百人も作家がいたらいつ天才作家が現れてもおかしくないんだよ。そんな作家さんをオヤジ漫画好きの間だけで独り占めしていていいのかなぁと思うんだ。
まさにこれ。
http://anond.hatelabo.jp/2008XXXXXX
立原あゆみのような類まれな才能と作家性を併せ持った作家を、私たちは天井のある籠の中で飼い殺している。そのことに対して罪悪感を持つ程に、私は彼の作品を愛している。
そんな思考回路だから、「○○を読まないなんて人生を損している!」なんてことを臆面もなく言っちゃうわけですよ。
村生ミオと山口正人を読まないなんて人生を損しているよね!ねぇ頼むよ、せめて昔ジャンプ読んでた人。オヤジ漫画読もうぜ。
ええ、そうです、改変ネタです。
これのモトネタは>BLを読まないなんて人生を損している!
スイマセン、BL今まで読んだ事無いし、これからも多分読みません。
でも、別に人生損したとは思わないなあ。
元増田さんがスタニスワフ・レムを読まずに一生を終えたとしても、それは残念だけどそうだったというだけで別に人生の損じゃ無いでしょ。
読んだ事でプラスになることはあっても、読まなかったことでマイナスになるなんてことは無いのよ。どんなんでも。
まあ、読んでマイナスになるってことも殆ど無いだろうけど。
つーかね、物理的に限界があるよね。
私はある程度は漫画や小説を読んでる方*2だけど、無理無理。
自分の守備範囲以外に面白いの凄いのやとんでもないのがあるのは重々承知してるけど、全部はどうせ無理ですよ。うん。
例えば私の場合、死ぬまで「失われた時を求めて」を原文で読むことは無いと思うけど、それって損なんでしょうね、ある種の人々に言わせると。でもそれ無理。
新たに何か読み始めるとして、そこで「読まないと損」なものがある、なんて言説は遠ざける原因にこそなれプラスにはなりません。*3
つーことで、これ書いた元増田さんは「任侠沈没」 「若頭・残波」「今日からヒットマン」 「SとM」 あたりを読んで・・・、いや読まなくていいや。
むしろ読んじゃ駄目だ。あなたが薦めてるその凄い、素晴らしいBL作家と比較しても意味無いから。
チョコレートを求めてる人にスルメを売りつけようとしてもしょうがない。
せめてマシュマロか。えー、じゃあ、ウッドハウスコレクションあたりで執事と若旦那モノを楽しんでください。
あー、BLじゃない時点で駄目か。うーん、難しいね。
あれです、今まで自分が読んでいなかった物、そしてこれからも読まないであろうものを凄いと考えてる人も居るってことだけを知っておけば良いんじゃないかな。
「よしきた、ホー」って言ってそこまでってやつですよ。
#しかし、なんでも改変きくだろう、これ。実際の所、人類史において当時の過半数を要した宗教すら存在しないのに「〜ではないのは人生を損してる」なんて言われても困るよね。