情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明


漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

ちょっとだけ気になった点をツッコミ


http://d.hatena.ne.jp/Hayashida/20070611/1181540505に。



 元記事で引かれているItMediaの記事。

例えばアニメやマンガは、日本の重要な輸出コンテンツとして積極的な展開が望まれている分野だ。だがこの分野がここまで成長したのは、「コミケ」があったからであり、同人誌文化がもともと権利者から、「ま、いっか」と許容されてきたからである。その中から多くのクリエイターが産まれ、コンテンツとして成立するルートが出来上がっていった。

知財推進計画が目指す「コンテンツ亡国ニッポン」 (2/3) - ITmedia NEWS


 これが言いすぎというかカン違いってのはまあ同意です。ただ、

コミケが無くても、アニメ産業は十分成立しますよ。ポケモンや宮崎アニメがコミケ参加者によって支えられてますか?では人材の育成に役立っているか、といえばそれすら怪しいのが現実ですよ。
鉄腕アトム」「鉄人28号」「マッハGoGoGo」「キャプテン翼

 この辺は「何時」ってのと「何」を見てるかの差じゃないんですかね。
 記者さんの方は現在作成されているものしか見てないのでトンチンカンなこと言ってるし、過去の話にしても超ヒット作の影にハズレも沢山あったわけですし。


 現在に関して言えば、id:Hayashidaさんは、(パレートの法則で言うところの)80%の売り上げを為す20%の作品以外は意味が無い、と言ってるようなものに思えるので、じゃあその80%の作品が無くなった時に現在の上位20%がそのままか、というとそうではないでしょうし。


 MOON PHASE 雑記 2007夏新番チェックに挙がってるような作品はid:Hayashidaさんからすると存在意義の無い、20%にしかならない作品群だと切り捨てられるのかもしれませんが、その量で見ればファミリー向けや過去の作品を凌駕しているのは確かなわけで。
 (今思ったんですが、全アニメ番組の視聴率を総計して上位20%の番組の合計が全体の何%になるか調べればいいのか?もう誰かやってる?)



 あと、これがちょっとズレてるかな、と。

それ以前のマンガ志望者は、フツーに出版社に持ち込みをするしかなかったし、エロマンガ誌が増えてようやく持ち込み先が増えて4大少年誌(ジャンプ、マガジン、チャンピオン、サンデー)以外でもデビューができるようになった、ってのが80年代のエロマンガ誌ブームだったワケですよ。

 
 キングは82年まであったし、持ち込み先やデビューの機会が増えたってのは青年漫画誌・月刊漫画誌を主とした雑誌創刊ブームによるところが大きいはずです。(上がつかえてた少年・少女誌の漫画家の流出によるのも含めてね)
 また、「劇画ブーム」の終焉もあり、貸本デビューといった形でのデビューが減っていったというのもかさなっていると考えるのが妥当でしょう。
 1980年前後の(非エロの)創刊雑誌を「雑誌新聞総かたろぐ」の1982年、1992年版から抜き出しただけで

 とまあこのくらいにはなるわけで。
 (2007/06/13 22:35追記)少女漫画雑誌の創刊についてはこちらのページが詳しいのですが、80年代にすごい数創刊されてるわけですよ>http://www.propel.ne.jp/~hisatomi/comic/shojomanga/history4.html
 認識違いというか、エロマンガ誌ブームだけでは無いですよね。


 それと、各雑誌の投稿型新人賞も1970年代後半には出揃ってきていましたので*1、「出版社に持ち込みをするしかなかった」というのも誤認かと。
 


 あと、私も専門外ではあるんですが*2、この1文はどうも煽りがすぎるというか。

テキトーこいてオタクに媚を売るのもお商売上必要かもしれんが、専門外のことにハンパに首を突っ込んでは欲しくないね。


 これなんですが

オタク市場はどんだけ多く見積もっても男性50万、女性80万ぐらいしかアクティブなユーザーは居ない、所詮はニッチ産業なのでありますよ。

http://d.hatena.ne.jp/Hayashida/20070526/1180168111


 以前こう書いてらっしゃったように、全人口の1%程度(とid:Hayashidaさんがおっしゃる)ニッチなものに対して「媚を売る」というのが意味がわかりかねます、というか矛盾しているような。
 日本のインターネット人口からしても130万人では2%以下なのですが・・・。






*1:手塚賞が1971年、赤塚賞が1974年、ちばてつや賞が1979年?

*2:というか、id:Hayashidaさんは御自分を漫画の専門家だと自認してらっしゃるんですね、やっぱり