柳沢きみおのエッセイ集「なんだかなァ人生」を読んでたら出てきた話。
1973年の事。
私*1は「女だらけ」を*2連載中の二十五歳の時に、高校のクラスメートと結婚をしたのです。その時の担当編集者のSさんがとんでもない事を。
デビューしたてのド新人の私なのに、漫画界のトップの作家全員に、私に無断で式の招待状を送ってしまったのです。
で、結婚式の当日、来るはずはないと思っていた手塚先生が、いきなり式の途中に来てくれたのです。
ちょうどその頃、手塚先生のアニメ部門の虫プロが倒産して、先生も雲隠れ状態。
そんな大変な時期なのに、こんな明日も分からぬド新人の結婚式に顔を出してくれたのです。もう私は唖然です。
あいさつをしてくれて、しかも式場にピアノがあったので、一曲クラシック曲をさらっと弾いて風のように去って行きました。凄い人です。
招待状を送ってしまう編集者さんの洒落もキツイが、それに乗る手塚先生の粋さが際立つエピソードじゃあないでしょうか。
柳沢きみおは、手塚賞出身、集英社の雑誌で連載中だったというかかわりがあるものの、まさか本当にってのはあったでしょうね。
このエッセイ集は、週刊新潮に連載(2010年5月〜2013年8月)されたうちの、2011年4月までを纏めたもの。
生い立ちや漫画家人生、借金の話など、柳沢きみおの核心に近い部分がかなり赤裸々に書かれていて興味深いです。
残りは出ない・・・のかな。