情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明


漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

2013年のコミック市場、単行本は「進撃の巨人」2045万部効果で微増も、紙の雑誌は大幅続落。電子が伸びるも補いきれず。


 
 


 紙の雑誌は、販売部数が昨年よりも5000万部減。販売金額でいえば、ピーク時(1996年)から2000億円、60%減。
 ついに紙の雑誌全部と、紙のコミックス全部の部数がが同じ位で、電子を入れると雑誌の方が少ないという事にもなってます。
 ということで、出版月報2014年2月号、特集「コミック市場2013」に掲載されたデータより。


 昨年までのデータは>コミック誌の年間販売部数、ついに5億部を割り込む。出版月報「コミック市場2012」のデータが衝撃的すぎる。にあります。


2013年の簡単なまとめ

  • 雑誌・単行本を合わせた販売金額は、3669億円で1987年頃と同水準。
  • コミックス単行本の販売金額は、「進撃の巨人」2045万部*1効果で、単行本全体でも微増。*2
  • 紙の漫画雑誌の販売金額は、18年連続のマイナスで昨年比8%ダウン。銘柄数も減ってる。下げ止まらない。
  • 電子コミックスは2005年〜2012年まで伸び続けていて、*3推定600億円超え。


販売金額(億)販売部数(万冊)
コミック雑誌1,43844,075
単行本2,23143,856


 以下、データは出版月報からの引用になります。


 全体の販売金額は前年比2.6%減。
 コミック好調の要因は「進撃の巨人」年間累計2045万部。
 金額では88億円で、コミックス全体の4%を占める。

進撃の巨人は何故こんなに売れたのか


 という分析では、もちろん作品自体が面白かったというのを大前提に

  • TVアニメのクオリティが高かった
  • 女性読者が獲得された


 という点が挙げられており、紅白で主題歌が流れた結果、年明けに再び大重版との情報も。
 2014年にさらに累計部数を伸ばしていくのは間違いないでしょう。


 進撃の巨人(1) (少年マガジンKC) 進撃の巨人(13) (講談社コミックス)


ここ5年の傾向と電子コミック


 紙での販売部数、販売金額をここ5年で見てみると、単行本で多少挽回しても傾向は変わらないというのがわかります。
 紙の雑誌はひたすら低迷。18年連続のマイナス。
 そして、販売部数がほぼ肩を並べた状態になっています。2014年には逆転するかも。


販売部数雑誌計(万冊)前年比単行本計(万冊)前年比
20096032290.2▼4552295.1▼
20105591792.7▼46849102.9△
20115160392.3▼4521696.5▼
20124830393.6▼4358496.4▼
20134407591.2▼43856100.6△


 販売金額は、2005年以降はコミックスが勝ってます。現在では6:4でコミックスの方が多い。
 ただし、出版全体でコミックの販売金額の占める割合は21.8%で前年より2.1%上昇。
 出版業界全体の縮小の方が加速してるという事ですね。(販売部数では出版全体の36.0%がコミック)



販売金額雑誌計(億)前年比単行本計(億)前年比
2009191390.6▼227495.9▼
2010177692.8▼2315101.8△
2011165092.9▼225397.3▼
2012156494.8▼220297.7▼
2013143891.9▼2231101.3△


 しかし、電子コミック市場は順調に伸びつつあり、単行本と電子の合計で考えると2007年頃からほぼ横ばい。
 (2013年のデータは未確定。しかし、傾向からいえば600億円を超えていてもおかしくない)
 少し停滞気味だったのが、スマホ普及で勢いがついた事もありますが、出版社によるWEB配信の無料雑誌(マンガBOXもその例として出てました)が増え、WEBへのスタンスは確実に変わっています。


 
 


電子コミック販売金額(億)前年比
200534-
2006106311.76△
2007229216.04△
2008330144.1△
2009428129.7△
2010496115.89△
201149299.19▼
2012574116.67△
2013??????


 電子コミック普及の副次効果として(?)、コミック文庫は15%減、コンビニコミックは6.2%減。どちらも新刊点数自体が減ったとの事。


 場所をとらずに過去の作品をまとめて置いておく文庫、何時でも買えて時間つぶしに向くコンビニコミック。
 どっちもスマホでの電子コミックに食われるのは仕方ないでしょうね。

雑誌とコミックスの点数


 電子雑誌への移行、とまではまだ行っていないようですが、雑誌の銘柄数は減少。最大時よりも50誌減ってます。
 「漫画サンデー」の様に伝統ある雑誌でも休刊しちゃいましたし、さらに淘汰が進むのかなあ。


 部数では「別冊少年マガジン」が4万部>18万部という大幅アップの例も。進撃の巨人効果の一環ですね。でもこれは例外。
 子供向けは付録で売れるというのは変わらず、最大部数であるジャンプは275万部。300万部から減少しています。


 コミックスの年間新刊点数は微減。(それでも月1000冊出てるわけですが)



雑誌銘柄数前年比コミックス新刊点数前年比
200930096.8▼1192799.0△
201028896.0▼11977100.4△
2011295102.4△12021100.4△
201228897.6▼12356102.8△
201327695.8▼1216198.4▼


 雑誌の銘柄種別で見ると、成年誌の減少が進んでるかな。
 エロはネットで、って人がさらに増えてるんでしょう。


種類201120122013
少年向け313130
少女向け383634
青年616057
レディスコミック626159
4コマ212222
パチンコ・パチスロ141313
BL161716
趣味・スポーツ・その他779
成年454136
合計295288276



進撃の巨人以外の人気作品


 少年向けでは、「暗殺教室」「黒子のバスケ」がどちらも初版単巻100万部超え。黒子は例の脅迫も収束したし、アニメ2期もあるのかね。
 「マギ」19巻で累計1368万部、スピンオフも2巻までで35万部。
 黒子とマギは、アニメ化で女性読者を大量に獲得した効果が大きい。

 暗殺教室 1 (ジャンプコミックス) 黒子のバスケ 26 (ジャンプコミックス)



 女性向けではリバイバル作品がヒット。「ときめきトゥナイト真壁俊の事情」「ママレードボーイlittle」
 2014年にはセーラームーンも復活しますしね。

 ときめきトゥナイト 真壁俊の事情 (りぼんマスコットコミックス) ママレード・ボーイ little 1 (マーガレットコミックス)




 青年向けでは「亜人」「東京喰種」など。


 亜人(1) (アフタヌーンKC) 東京喰種トーキョーグール 1 (ヤングジャンプコミックス)



 映画化、映像化作品は引き続き多く、「カノジョは嘘を愛しすぎてる」などがヒット。
 また、アニメ化ではライトノベルが多く、その連動としてのコミカライズも多くあった、と。


 カノジョは嘘を愛しすぎてる 13 (Cheeseフラワーコミックス)


 雑誌ではなく単行本で直接出版というのも増えつつある。
 白泉社の描き下ろし「彼女になる日」「鬼の往き路 人の戻り路」の名前が挙がってました。


 彼女になる日 (花とゆめCOMICS) 鬼の往き路 人の戻り路 (花とゆめCOMICS)



 紙の雑誌は、どこが引き所、限界かっていうチキンレースになりつつあるんでしょうかねえ・・・。
 単行本の点数は、やっぱり月1000冊越えは限界アップアップっぽいし。


 生き残りの道は、細く険しそうですなあ。
 といった所で今回はここまで。

*1:単行本全体の4%

*2:進撃の巨人がなかったらマイナスである

*3:2013年は未確定だが