出版月報2013年2月号、特集「コミック市場2012」に載ってたデータが色々衝撃的というかヤバいというか、どうなっちゃうんだこれ。
コミック雑誌・単行本、ともに販売部数は共に5億部割れとの事。
販売金額(億) | 販売部数(万冊) | |
---|---|---|
コミック雑誌 | 1,564 | 48,303 |
単行本 | 2,202 | 43,584 |
以下、データは出版月報からの引用になります。
市場規模は前年比3.5%減。
単行本の売り上げは1990年頃と同じ水準まで落ち込み、コミック誌の売り上げは続落傾向となっています。
発行部数で言えば、まだコミック誌の方が上なのですが、返品率が高くなっていることもあり、販売部数ではコミックスに近いところまで下がっています。
発行部数(万冊) | 返品率 | |
---|---|---|
コミックス | 60688 | 28.1% |
コミック誌 | 68924 | 33.7% |
現在、週刊少年ジャンプの発行部数が280万部ちょい、年48回発行なので、コミック誌の5冊に1冊はジャンプ、という事になりますね。
(http://www.j-magazine.or.jp/magdata.html を参照)
コミックスとコミック誌の推定販売金額における比率は、58.5:41.5。
読者傾向で言えば、単行本派の比率が伸び続けている事になります。
過去からグラフにしてみると、販売部数は1995年のピーク以来下がり続け。
販売金額では、2004年に単行本の販売額が雑誌を超えて以来、差が広がるばかりだという事が分かります。
雑誌・単行本共に返品率は悪化。
それでいて平均価格は上昇という、悪化傾向はいままで通り。
雑誌の銘柄数は昨年より減少し、288誌。
種類 | 数 |
少年向け | 31 |
少女向け | 36 |
青年 | 60 |
レディスコミック | 61 |
4コマ | 22 |
パチンコ・パチスロ | 13 |
BL | 17 |
趣味・スポーツ・その他 | 7 |
成年 | 41 |
合計 | 288 |
こちらもグラフで見ると、ここ数年は上げ止まり・減少傾向。
WEBへの移転などもあり、もう紙の雑誌はどんどん減っていくことになるんでしょうね。
単行本新刊の点数は12,356冊。昨年よりも335点増加。月当たり28冊増えてる計算になります。
この数字は過去最高を更新。
グラフで見ると、やはり今が上限っぽく見えますが・・・。
その他の特記事項
「ONE PIECE」は普及が一段落し、その落ち込みの影響があるかと思われたが、「銀の匙」「暗殺教室」の様な新しいヒット作が誕生。
少年向けでは
少女向けもスマッシュヒット多し。
- 「俺物語!!」
- 「妖狐×僕SS」
- 「L DK」
- 「カノジョは嘘を愛しすぎてる」
青年・レディスはあまり目立ったヒットが無い。例外的に
- 「テラフォーマーズ」
- 「きょうは会社やすみます」
- 「式の前日」
長期連載作品の完結が多かった。例として「範馬刃牙」「エア・ギア」など。
長尺作品の既刊売れ行きは鈍った。
アニメ・映像化作品、Web発のヒット作も出た。
ラノベ、アニメのコミカライズ、スピンオフは増加。
「アクセル・ワールド」の様な、ライトノベル→アニメ化→コミカライズ、というパターンも増えている。
映像化作品は、アニメ・実写ドラマ・映画と、やはり多数ある。
部数がこれにより伸びた作品は
WEB発の人気作として挙げられていたのは
- 「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」
- 「月刊少女野崎くん」
- 「男子高校生の日常」
- 「ワンパンマン」
電子コミックの市場規模は423億円と推定。
前年度比12%の減少。これは、ガラケーで売れなくなったため。
といった感じでした。
紙の漫画雑誌はやっぱり、縮小、縮小、縮小なんだよなあ・・・。
休刊や発行回数減も増えてるし、ジャンプ1強は当分動かないでしょう。
単行本は、点数が増えるけど1冊あたりでは売れなくなってるから、格差がますます大きくなるか。
自分にとって面白い作品ってのを探すのはますます大変になるって事ですね。
漫画のあしたはどっちだ。
といった所で今回はここまで。
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