講談社を中心に、というか、他の出版社でこういう例はそんな多くない様な気がする、新人賞応募作から連載になった作品の話。
今回は、連載・単行本化時の内容もしくはタイトルまでほぼ同じ、という基準で考えています。
今、週刊モーニングで連載されてる作品だと、この辺。
これらの作品は「ちばてつや賞」や「Manga Open」での入賞作品が連載化されたものなんですね。
※「OL進化論」もそうだと言われるかもしれませんが、これはちょい微妙で、受賞作である「おくさま進化論」とどの程度変わってるのかわかんない。「進化論」ってのはそこから持ってきたんだろうな、とは思いますが。
例えばジャンプの手塚賞・赤塚賞で賞を取って、その後別作品でヒットしたってのは沢山居るのですが、受賞作そのもの、またはその設定を引き継いだ作品がそのまま連載になってるのは少ないんじゃあないかと思います。
漫画じゃなくて小説だと結構あるのかなあ。ライトノベルに限らずそういうの多い感じがする。
「姑獲鳥の夏」から始まる京極堂シリーズも、「涼宮ハルヒの憂鬱」も「しゃばけ」シリーズもそうか。
・・・これはヒットした作品は知ってる・記憶に残ってる、というバイアスによる偏見ですかね。
そういう作品「も」ある、という話です。
で、この後に挙げていくのは、デビューしていても現役漫画家でも応募可能な賞である「ちばてつや賞」「MangaOpen」「四季賞」の話。
ちばてつや賞より
ちばてつやのHPに賞の入選・受賞者記録があって、そこを見ると、かなりの作品が入賞作から連載化されてるってのがわかります。
単行本が出てるって話で考えると、この辺の作品がそうですね。
- 第6回
- 第11回
- 第15回
- 第16回
- 第18回
- 「ギャンブルレーサー」田中誠
- 第23回
- 「虎の子がゆく!」郷田マモラ
- 第27回
- 第39回
- 「ちゃぶだい」うめ
- 第43回
- 「昆虫探偵ヨシダヨシミ」 木村智聡
- 第57回
クッキングパパは、ヤングチャンピオンでのビフォア作品「クッキングボス」があったのですが、それとは別として応募作品扱いだったということですね。
第10回にある「ほぐし屋ブルース」 村田ひろゆき は、「ほぐし屋捷」の原型なんでしょうか。
「ギャンブルレーサー」「ショムニ」などは、連載の過程で絵柄が物凄く変わってますな。
- 第8回
- 「BE-BOP-HIGH-SCHOOL」 きうちかずひろ
- 第17回
- 「神の悪フザケ」 山田花子
- 第18回
- 「真夏の夜のユキオンナ」大山玲
- 「眼力王」 平井一郎
- 第24回
- 「カラード・ブルー」 永福一成
- 第41回
- 「ナニワトモアレ」 南勝久
- 第48回
あの「BE-BOP-HIGH-SCHOOL」も応募作だったというのがちょっと驚き。
全部の記録が無いので分かる範囲でしかないですが
などですね。
四季賞とか
アフタヌーンの四季賞も連載・単行本化ってのも結構な数あるんですね。
- 「8月の光」新井英樹
- 「ぼくはおとうと」小原愼司
- 「無限の住人」沙村広明
- 「蟲師」漆原友紀
- 「ラブロマ」とよ田みのる
- 「臨死!! 江古田ちゃん」瀧波ユカリ
- 「BLAME」弐瓶勉
- 「杯気分!肴姫」入江喜和
- 「KUROGANE」冬目景
- 「ヨコハマ買い出し紀行」芦奈野ひとし
- 「反町くんには彼女がいない」有川祐
- 「カーム・ブレイカー」岩瀬昌嗣
連載されるのはアフタヌーンに限らないというのも特徴か。
週刊少年マガジンで連載された「コータローまかりとおる!」も新人漫画賞・特選作品だったんですよね。
応募作がデビュー作で最長かつ唯一の作品、てことですね。
古くを辿れば藤子不二雄もまた、応募作品がデビュー作で初連載作品だったというのもありますか。
編集主導ではない、作家主導で作品がおこされて商業になる、というルートとしては新人賞作品ってのはアリなのかも。
現在は一作品長期連載型が主流で、複数雑誌に読切を載せていくっていうスタイルはエロ漫画にある位になっちゃってるんですね。
なので「作者が一番ノれる」という事を考えると、受賞作からってのはアリなんだと思います。
ただし、それ一作で終わらない為には作家だけの力だと難しいってのもあるかもしれませんが。
といった所で今回はここまで。
余談 高橋ヒロシ「Hey!リキ」
ちばてつや賞ヤング部門の第19回に「最強のリキ」 高橋ヒロシ、として準優秀新人賞で入賞してますが、この作品、かなり紆余曲折を経てるっぽいですね。
1989年に徳間書店「月刊少年コミック」で連載され、雑誌休刊により終了。2003年?から、少年画報社「ヤングキングで」永田晃一により連載化されてるので、キャラクターと話の原型誕生から、既に20数年経ってるってことになるのか。
作者の中で、生き続けているキャラクターということで、これも新人賞応募作だったればこそと言えるかもしれません。