部数で言えば、漫画の単行本が100冊売れると、その内7〜8冊は「ONE PIECE」。
金額で言えば、1万円分漫画が売れると、そのうち500〜650円くらいは「ONE PIECE」。
だったのではないか、という計算になります。
まとめ
- コミックス(単行本)で考えると
- 部数では、占有率6.2%〜7.95%の間のどこか
- 金額では、占有率5.3%〜6.5%の間のどこか
販売金額で見ると比率が下がるのは、一冊あたりの定価が低いからです。
- 雑誌を含んだコミック市場全体でのONE PIECEの販売金額占有率は4.1%程度
週刊少年ジャンプについて言えば
- コミック雑誌市場において
- 発行部数で占有率18%〜21.0%の間のどこか
で、漫画雑誌が100冊売れたら、そのうち20冊くらいはジャンプだろう、という計算になります。
以下、計算に使用したデータは、出版月報2011.02に掲載された「特集 コミック市場2010」より。
全体の数字
2010年における、コミックス、コミック雑誌の発行部数は以下のとおり。
単位:万冊 | 出回り | 実売 |
コミックス推定販売部数 | 63,842 | 46,849 |
コミック雑誌推定販売部数 | 77,974 | 55,917 |
合計 | 141,816 | 102,766 |
販売金額は以下のとおり。
単位:億円 | 出回り | 実売 |
コミックス推定販売金額 | 3,152 | 2,315 |
コミック雑誌推定販売金額 | 2,598 | 1,776 |
合計 | 5,750 | 4,091 |
発行部数と実売部数
2010年におけるONE PIECEのコミックス発行部数は、3,960万部。
対して、全てのコミックスの累計出回り部数は、63,842万部。
ここから発行部数では、占有率6.2%といえます。
しかし、日本では返本制度というものが存在します。
コミックス全体での返本率は、2010年においては29%程度で、実売部数は46,849万部。
しかし、「ONE PIECE」はすべての単行本に増刷が掛かった結果としてのこの部数のため、返本率は比較的低いのではないか、と考えられます。
とはいえ、汚損・コンビニや駅売店への配本・書店の閉店など、返本がまったく無いとは考えられないため、ここでは返本率を通常の1/5、6%と見積もって計算してみます。
すると、以下の様になり、約8%の占有率になると計算できます。
(単位:万冊) | 出回り部数 | 販売部数 |
コミックス総発行部数 | 63,842 | 46,849 |
ONE PIECE総部数 | 3,960 | 3,722.4 |
占有率 | 6.2% | 7.95% |
ちなみに2010年のコミックス新刊点数は、11,977点。
ONE PIECEの新刊は4冊で、既刊全てを合わせた60冊としても0.5%でしかありません。
もちろん、他の作品だって増刷が掛かったりすることを考えれば、新刊として出回っている全ての漫画作品のうち0.2%程度の銘柄数ということになるのでしょうか。
それでいてこれだけの占有率になるというのは、すさまじいの一言につきます。
販売金額における占有率
「ONE PIECE」の単行本の定価は420円*1ですから、3,960万部で
420×39,600,000=16,632,000,000円
166.32億円
対して、全てのコミックスの累計販売金額は、3,152億円。
実売金額は2,315億円。
こちらの計算でも「ONE PIECE」の返本率は6%程度としますと
(単位:億円) | 出回り | 実売 |
コミックス推定販売金額 | 3,152 | 2,315 |
ONE PIECEコミック価格総額 | 166.32 | 156.34 |
占有率 | 5.28% | 6.75% |
となります。
ちなみに、漫画雑誌まで全て含めた市場規模を考えると、
単位:億円 | 出回り | 実売 |
コミックス推定販売金額 | 3,152 | 2,315 |
コミック雑誌推定販売金額 | 2,598 | 1,776 |
合計 | 5,750 | 4,091 |
より、ONE PIECEのコミックスによる占有率は
出回り | 実売 | |
比率 | 2.89% | 3.82% |
となるのですが、これだと抜けがあります。(今回は漫画雑誌・コミックスのみ考えるので、アニメ関連書籍やノベライズは除外します)
- ONE PIECE GREENなど、コミックスにカウントされる公式本(画集は含まれるか微妙なので割愛)
- 「〜LOG」という名で出てる総集編(雑誌扱い)
- 週刊少年ジャンプの売り上げ中のONE PIECEの分
これらの部数や値はわかりませんから、適当に算出するしかないんですわ。
うーん、GREENが100万部、各LOG(1〜14巻)は5万部づつ増刷されたってことにしてみます。(少なめで)
420*100万+600*14*5万=8.2億
さらに問題になるのは3番目。
「ONE PIECE」が載ってるからジャンプを買う(休載してる号は買わない)て人も居るだろうし、毎号買っていたとしても、240円中50円分が「ONE PIECE」だと考える人も居れば100円分が〜と、意識的偏重を考えるとややこしくなってしまいます。
なので1作は1作、掲載された号のには漫画作品が20作品くらい載っていて、かつ、その他の記事ページとかもあるし、480ページ中19ページだから、ジャンプ1冊につき10円として算出してみます。
「ONE PIECE」掲載時のジャンプの部数を平均300万部、2010年に出た48冊のうち、(一ヶ月の長期休載を含め)8回休載してるので40回、それに10を掛けると、
300万×40×10=12億
で、コミックス販売額にこれを足しますとONE PIECE全部で186.7億円。
単位:億円 | 出回り | 販売 |
コミック価格総額 | 166.32 | 156.34 |
LOG(総集編)推定 | 4.2 | 3.78 |
関連公式本総額推定 | 4.2 | 3.78 |
ジャンプ掲載分推定 | 12 | 10.8 |
合計 | 186.72 | 168.05 |
以上から
単位:億円 | 出回り | 実売 |
コミックス推定販売金額 | 3,152 | 2,315 |
コミック雑誌推定販売金額 | 2,598 | 1,776 |
合計 | 5,750 | 4,091 |
ONE PIECE関連総額 | 186.72 | 168.05 |
比率 | 3.25% | 4.11% |
という計算になります。
週刊少年ジャンプの占有率について
コミック誌の推定発行部数データによると年間累計で
- コミック誌全て:77,974万冊
- 月刊誌子供向け:9,555万冊
- 月刊誌大人向け:23,977万冊
- 週刊誌子供向け:28,430万冊
- 週刊誌大人向け:15,992万冊
であり、「週刊誌子供向け」が週刊少年4誌。
発行回数が同じとして、一般社団法人 日本雑誌協会から算出できる部数比率から計算、出回り部数が14,530万部(48回発行で平均300万ちょい超えてるって数字だけど、赤丸増刊とか入れると妥当なはず)程度、ジャンプの好調が雑誌の返本率を押し下げた、とあるので、平均より10%低く、19%としてみると
単位:万部 | 出回り | 販売 |
コミック誌推定発行部数 | 77974 | 55917 |
うち、週刊少年誌 | 28430 | 24194 |
うち、週刊少年ジャンプ*2 | 14530 | 11769.3 |
比率 | 18.63 | 21.05 |
となります。
もちろん、月刊誌の4倍の回数発行してるわけですが、全部で288銘柄とされてる漫画雑誌のうちたった1誌が20%近い市場規模という、一人勝ち状態なわけですね。
この試算の信憑性ですが、返本率とか、店頭・流通在庫の事などをあんま考えていないので、かなり雑把だとは思います。
でも、部数ベースの数字は間違ってないはずなのでそこまで大きく外れてもいないと思います。
といったところで今回はここまで。
余談 関連本とか
集英社以外からも関連本・研究書籍が色々出てますが、これらも結構売れてます。
のめりこみ度合い・読み方などは色々なんですが、これは深いところまで見ててオススメ。
ちなみにこないだコンビニで奥付見たら、5刷り目でした。