情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

「藤原カムイ個展 50ANN」を体験してきた




 もう期日が明日明後日しか残ってないんで、逃してる方はお早めに。
 会場は樹と家が一体化したようにも見える「地面下の家」(ちめんかのや)
  



 どんなイベントかというのはまずこちらの公式サイトとブログを見ていただいて、


 まんたんWEBのインタビュー読んでもらって


 youtubeにアップされてる紹介映像も見てもらいますと。

 もうこれで紹介OKかな。あとは蛇足的な私の感想です。


空前にして絶後かもしれない


 とにかく凄ええええええ!!!!!!!!!!!


 見に来るファンを「100%信用する」ことでしかなし得ない展示、いやさ空間ですよ、あれ。
 会場には藤原カムイ自身が居て、仕事をしてるし。(私が最初に行った日はヤンガンロト紋のキャラ大集合扉イラストを描いてる最中だった。)
 BGMとして藤原カムイIPodを繋いだコンポが音楽を流してる。
 なんだこの贅沢空間。



 漫画関連の展示・展覧会・イベント・パネルディスカッションなどをそれなりには見たことがあると思いますが、その中でも別格。
 「井上雄彦 最後のマンガ展」と対称的な、それでいて双璧をなす素晴らしさでした。


 あちらが『マンガ』展の至高を目指して作られたであろうものであったのに対し、こちらは『個』展として、一種の究極。
 藤原カムイという「世界」をあらわす空間って言ってもいい。


 あえて対比するなら、観客の導線と見る順番まで意識して作られたロウと対極のカオス。


 どちらも、「会場に置かれているのは唯一無二のオリジナル」であるのは同じ。
 また、それらと観客の関係は「静と動」の組み合わせであったと言えると思うのですが、マンガ展側は展示が「静」でその中を観客が動くことで「動」を加えていっていた。
 こちらでは(会場自体そう広くないですし)観客は座り込んで(座布団や座椅子を「ご自由にお使いください」と置いてある)、ファイルをめくり、作品や原稿やモノを見ていく。動かないんだけど、見る対象は動かされ、順番が入れ替わり、別の観客に同じ順序で提示されはしない。


   



 観客が「触る」ことを許してるってのがもう特殊っちゃ特殊なんだけど、そういうレベル超えてます。
 だって、小学校時代のラクガキノートが普通に置いてあるんですよ。


 そう、ぶらさげ展示用パッケージングされているものも含め、そのものが「直接」「手にとって」「見て読める」んですよ。
 プロによる鉛筆書きネームって、実物を触ったのすら初めてなのに、それを時系列順にだってめくって読んでいけるの。



 漫画家の「全仕事」ってのを広範囲に考えたときに何をどこまで見ることが、知ることが可能か、と考えたときに


↑容易

  • 単行本
  • 映像化作品
  • その他の(画集などに)まとめられた仕事
  • ゲーム・アニメのキャラクターデザイン、パッケージなど
  • 他作家作品へのイラスト(表紙装画、挿絵)、寄稿、帯コメント
  • 自作品アニメムックなどでのコメント、インタビュー

-------------------購入可能期間の長さの壁---------------------------------------

  • 連載作品(掲載雑誌)
  • 読切他の雑誌掲載作品
  • 連載誌へのイラスト(表紙、ポスター)・カット・インタビュー・コメント
  • 漫画関連雑誌などでのコメント、インタビュー
  • TVインタビューなど
  • 他誌へのイラスト・カット・コメント
  • 店頭ポスター・販促イラスト

-------------------公開範囲の壁(公的)---------------------------------------

  • 非売品プレゼント
  • 同人活動
  • ファンクラブ会報など、限定公開のもの

-----------------------公開範囲の壁(私的)----------------------------

  • 原画・原稿
  • 打ち合わせ稿、設定資料
  • ネーム
  • ファンレターへの返信イラスト、私信など
  • プライベート関連(企画書、没ネームとか落書きノートとか)

↓困難


 こんな感じになるのかな?*1


 それが、「全部」あるんですよ。
 大体、階段を降りて昇ってたどり着いた会場に、いつもの仕事場から持ってきたという机があって、そこで藤原カムイ本人が仕事をしている。



 「展示」されているものはそう、展示なんだけどそんなレベルじゃない。
 置いてあるの。ガサっと、ゴソっと。


 

 原画やイラストはクリアファイルに入ってるのを見てOK、写真とってOK。
 そうそう、レポート書いてるところ見ると分かるように「写真撮影OK」なんですよ。
 ネームなんかは鉛筆書きそのままの、ワニ口クリップでまとめたのもあれば、缶にどっさりと描かれたものが積まれてたり。



 

 「ロトの紋章」資料ファイルがドン、と3冊重ねてあって、ネーム、設定文章、設定案(展開をこういう方向にしては、というボツ案含め)が「仕事場に置かれていたそのもの」が手にとって見られる。
 同時に、掲載されたイラスト(の雑誌からの切り抜き)、カラーページやプレゼントされたテレカの応募ページなんかもあって「関連仕事」がまとまった本気資料。
 複製じゃないんですよ、「そのもの」なんですよ。


 単行本のカラーイラストとかを額に入れてあったり保護されてるのは今まで色々見ましたけど、あんなのは初体験です。


 いや、本当にねえ、空前絶後といって良いんじゃ無いでしょうか。


 最近出たこの本を読んだ方なら分かると思うのですが、ある種の「普通にはありえない理想の展示」の具現化であるのかなと。


マンガとミュージアムが出会うとき (ビジュアル文化シリーズ)
マンガとミュージアムが出会うとき (ビジュアル文化シリーズ)

当ブログの関連(?)記事



#当初マイミク向けに公開した文章の加筆・修正版です。結構変わってる。

*1:番外として、アシスタントなど他人の仕事へのノンクレジット参加てのもあるけど、それはちょっとはずす

読んだ本

  1. 週刊少年ジャンプ
  2. 週刊ビッグコミックスピリッツ
  3. 週刊ヤングマガジン
  4. 隔週ヤングキング
  • ジャンプ
    • お、やっぱりくまとイワさん知り合いなのか。中心をナナメに切るコマ割りが印象的>ONE PIECE@尾田栄一郎
    • えー、じゃあこの後リアルなんたらが出て来るのかね>BLEACH
    • 専属契約は「マンガ」は描けないなんですね。(他社含め)賞にデビューしてる漫画家が応募することって結構多そうなんですが、どの位あるのかって実際は見えないんですよ>バクマン。@大場つぐみ×小畑健
    • この後の移動は皆で新幹線に乗って行ったりするのかしら。>ぬらりひょんの孫@椎橋寛。
    • 部長の孫のわがままさ加減は一度叩き直した方がいいと思う。それは兎も角、こういう時節ネタはかなり後に読み返すとまた面白いんだよなあ。遊技場に侵略者遊びをしに行こう、なんてのも>こちら葛飾区亀有公園前派出所 @秋本治
  • スピリッツ
    • 新シリーズ開始。環境問題は結構初期からやってる話ですが、実際どうしろってのよなんだよねえ。大量生産大量消費という漫画雑誌が好きなのはもうエコとしてアレだし。>美味しんぼ@雁屋哲×花咲アキラ
    • 伝染るんです。って作品としてはもう20年も前になるのか。そう考えるとなんか、あれもう20年も前なのか。
    • 出張読切2本立て。8ページだからこういうタイトルなのね。>8-はち-@竹本友二。
    • もはや言葉も無い。>おやすみプンプン@浅野いにお
    • トーナメント編(あっさりと)終了。なんだったんだ。アニメ化でもすんのか?>鬼龍院冴子 探偵事務所@三上龍哉。
  • ヤンマガ
    • 隔週休み入れて6本休載。次号、バカ姉弟復活。
    • 新連載。ホストがらみっても裏方寄りの話かな。ってまたヤクザとホストか。ヤンマガもそういう系多すぎないか>カイタン@木崎拓
    • 友情を図るってなんだ。後ろから見ると真実が分る疑心暗鬼ゲーム?>賭博堕天録カイジ-和也編-@福本伸行
    • 人間の業ってなんなんだろうねえ>好色哀歌元バレーボーイズ@村田ひろゆき
    • 結局力押しになるんなら最初からさあ・・・>猿ロック@芹沢直樹
    • これ一回喰ってみたいんだよね。でも、多分食べてみたいなあ、と思ってるうちがいいんだと思う>奇食ハンター@山本マサユキ
  • ヤンキン
    • 特別読切、って悪食三兄弟とかそのまんますぎて「喰いしん坊!ヘボピー編」じゃあないか。でも落ちと師弟対談でほのぼの。そうか、モデルなんだっけ。W7に携帯電話はなんか違和感もあるが>ワイルド7トリビュート@土山しげる
    • 新連載。乾いた感じの絵柄でヤクザネタ。これも回収業者系なんだろうか。かぶるなあ。>ふくろう@神津しおん×木村僚佑。
    • 読切。眼と手と記憶とか「気」があろうとなかろうと設定なんかあんま関係ないだろこれ>ヴァンブレイス@小林政王。
    • 老人が集まってやるのもモンハン。これも時代か>キリン-WANDER NET WANDER-@東本昌平
    • 読切。応援団ネタにしてもなんだこれ、70年代作品のリメイク?>がむしゃら@佐伊村司。