現在は漫画の描き方・技法を扱った書籍というのは非常に多く存在するのですが、昔はプロが一体どのような道具を使い、どのような発想で漫画作品を作り上げているのかを解説した本というのは殆ど存在していませんでした。
そのような状況下、1965年に石森章太郎が著した「少年のためのマンガ家入門」は画期的な著作であり、その後版を重ね続けるベストセラーになりました。(初版発行が1965年8月15日、自分の手元に今あるのは1967年10月30日 18版)
日本全国の漫画を志す少年少女の多くがこの本を読み、ここから得た知識で作品を作り上げていった、漫画家志望者にとってのバイブルであったと言っても過言ではありません。
あだち充もやはりこの本を参考にした、とMY SWEET SUNDAY あだち充×高橋留美子で描いています。(12ページ)
現在は文庫版や「続」との合本版(石ノ森章太郎のマンガ家入門)が出ているので入手は容易ですし、発売当初からのベストセラーであり、ロングセラーでもあったので古書的にもさほど珍しいものではありません。
しかしこの本、函入りなんですが初期バージョン*1とそれ以降で函の絵柄が違います。
初期バージョンは赤白市松模様で石森章太郎作品キャラクターズの似顔絵が描かれているんです。
例えば002(サイボーグ009より)
というように、背表紙を含めて全部で169のキャラクターがかかれているんですが、この中に実在の人物をモデルとしたものが紛れてるんですね。
それも「トキワ荘」メンバーが。ということで(前置きが長いよ)ご紹介。(敬称略)
「自画像」のイメージがついちゃってる漫画家の場合、そちらのイメージに引きずられるので正しいのか自信が無いですが。それは違うだろ、と思ったらコメント下さい。
- 手塚治虫
- テラさん(寺田ヒロオ)
- 藤子不二雄(安孫子素雄、藤本弘)
- 赤塚不二夫*2
- 鈴木伸一*3
- よこたとくお
- 長谷邦夫
- 森安なおや(?)
- つのだじろう*4
- この2人も多分そうなんだけどわからない
- 本人、石ノ森章太郎
- (?) (2009/09/29 22:30移動 スタッフMさんのご指摘より)
本体の背表紙にも2バージョンの自画像が描かれております。
全体はこんな感じ(クリックではてなフォトライフの拡大ページへ)。他にもわかる人物が居ましたら、ぜひコメント等でご教授下さい。
そうそう、「時間経過を表す古典的表現」というネタとして使われることのある下駄はこれが出典なんですね。
といったところで今回はここまで。