今週金曜日発売の週刊漫画ゴラクで土山しげる「喰いしん坊!」が最終回ということで。
私のナポリ美食体験は、ある晩餐会に招待されたことによってさらなる広がりを見た。
晩餐会のメインイベントはスパゲッティ大食い競争だった。
この種の競技会はかつて社会生活にあたりまえに見られた呼び物だが、最近、復活され、必要な生鮮素材が闇市に再登場した結果、ほとんど儀式の高みまで持ち上げられた。
参加者は資産家のまじめな紳士たちで、元警察副所長、ローマ銀行頭取、数名の一流法律家を含む。だが女性はいない。
ノーマン・ルイス(ナポリ・四四年)
スパゲッティは皿に盛りつける前に、天秤ばかりで計量する。
攻略法は古典的、フェルナンド四世王によって導入され、ナポリ・オペラ座の桟敷で王が実演して見せて、観客を恍惚とさせたと言われる。
フォークにたっぷりとぶらさがったスパゲッティを、空中高く掲げ、そのあと顔を上に向けて、開いた口に落とす。
わたしの気がついたところでは、もっとも期待できそうな競技者はスパッゲティを噛まず、だが喉にためておこうとしているように見えた。
喉にぎっしり詰まると、喉仏を激しく痙攣させて、下に落とす。そうするとき、顔が赤くなることもある。
勝者は六十五歳の医師で、山盛り四皿、重さ一・四キロを平らげ、拍手と歓声で絶賛された。
医師は喝采に元気よく応え、それから吐くために部屋を出ていった。
より。
1944年に目撃された事例ですが、「噛まずに飲み込む」のが勝利への近道だというのは現在のフードファイトに繋がっているかもしれません。*1
WWII終戦とは少し時期がずれるんですが、ナポリという場所を勘案すると1944年だと既に戦火の影響は薄れてきていたころかな、とも思えます。
65歳ってのは随分な年齢ですが、イタリアならそれもあるかな、と思ってしまうのが不思議。
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#日本なら蕎麦喰い同士の勝負ってことになるんですかね。