ONE PIECE@尾田栄一郎の51巻を読んで、あれ、とおもって確認してみた。
いやほら、巨人の島や空島はスィフトの「ガリバー旅行記」だったり*1、ドリーとブロギーの居たところはサー・アーサー・コナン・ドイルの「失われた世界」がモトネタってすぐ判るじゃないですか。
そういう着想とか設定レベルでのモトネタじゃないのか、って話。
「ペレランドラ」がどんな小説なのかというのは後述。
この辺がモトネタっぽい
と私が思った箇所。
引用ページ数は原書房版に拠ります。
ペレランドラの「浮島」の説明を引くと(植物によって作られた、海の上に浮かぶ土地で、地球における島、通常の「固定した島」と区別される)こんな感じ。
P53-P54
はじめ見たときは現実に存在するどこかの国の景色のように見えたので、じつはこの島が浮いているのだということ――つまり浮島なのだということを忘れていたのだった。
(中略)
われわれの固定した陸地同様、表面は乾いていたし、植物も繁茂していた。しかし、その形はじつは、その下にあってたえず動いている水の形にしたがっていたのである。
そこに生育するある種の植物(泡の木)についての描写、これがヤルキマンマングローブの着想の基になってるのではないかと思うのだけど。
P63-64
頭上に伸びている、繊毛のぎっしり生えた管のような枝から、ほとんど透きとおった、輝く球状のものがぶらさがっていた。この球状のものの一箇所に光が反射し、虹のような色合いに照り映えているのであった。
見まわすと、どっちを向いても同じような球体が数かぎりなく柔らかい光を放っていた。
(中略)
輝かしい球体の一つ一つがしだいに大きさを増し、ある大きさに達すると、かすかな音とともに消える。そしてそのかわりに地面の上が一瞬ぐっしょり濡れ、ひんやりとした香りが空気中に満ち満ち、たちまちにして失せる。つまり、その球体は実は果実ではなく、泡で、木々は(彼は即座にそう命名した)泡の木であった。この木は水分を海から吸い上げ、それを、彼がいま見たような形で排出して生命を保っているのだが、
(中略)
一つ一つよく見ると、どの泡も枝からしみだしたときは豆粒ほどの大きさで、それが次第にふくらみ、パチンと破裂する。
人間がまたがって乗る事の出来る魚、なんてのも出てきます。トビウオライダーズと違って空は飛びませんが。
P110-P111
魚の色も、滑らかさも、銀を思わせた。一番大きなものは九フィートほどの体長で、いずれもずんぐりとして強靭そうに見えた。地球のどんな魚ともちがい、頭のつけねが胸の部分より目だって太く、胴体も尾に近いところでずいぶん太くなっていた。
(中略)
魚の頭と胴体のあいだのくびれたところにまたがった。肩のかわりに大きな頭につかまれるので、すべり落ちる心配はなかった。
彼女は両の踵で魚の腹を軽く蹴った。彼も同じようにした。一瞬後二人は時速六マイルの速さで、海上に乗りだしていた。
とまあ、実際のストーリーとはあんま関係ない部分であったりしますが。
作品解説
「ペレランドラ」は「ナルニア国ものがたり」で有名なイギリスの作家C・S・ルイスの「別世界物語」シリーズ三部作の2作目。
原題は「Perelandra」で、1943年にBodley Head(ボドリー・ヘッド社)から出版されました。
これまでに幾度か邦訳版が出版されてまして、1979年に奇想天外社から「金星への旅」、1987年にちくま文庫から「ペレランドラ-金星への旅-」、2001年に原書房から「ヴィーナスへの旅―ペレランドラ 金星編」として出ています。
原書房版
奇想天外社版
この「別世界物語」は少々、いや、かなり抹香くさいというか説教っぽいというかキリスト教的神学イメージが濃いんで、馴れないと読みづらい作品です。
あまりオススメはいたしません。まあこんなんもあるよ、という程度。
作家の知名度というか認知度は、ナルニアがあるから充分高いとは思いますが、この作品に関しては低めですかね。
といったところで今回はここまで。
#実際は、ルーキー達の名前も色々モトネタがあったり金太郎が出てきたり田中邦衛だったり、そういう「わかる人はわかってね」的お遊び要素が色々ある中の一つだと思うんですけどね。