情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

西原理恵子の本棚




 本日のコミティア84で西原理恵子大原画展スタンプに合わせて「西原理恵子の本棚」が配布されてたんでご紹介。
 今回は特に1冊ずつのコメントや解説はなく、シンプルな構成でした。
 下記データは 「タイトル (作者名) 出版社」となっています。



 西原理恵子の本棚

  1. 人間の大地 労働-セバスティアン・サルガード写真集- (セバスティアン・サルガード) 岩波書店
    • 人間の大地 労働―セバスティアン・サルガード写真集
  2. LIFE AT WAR (タイムライフ社) タイムライフブックス
    • Life at war (1975年)
  3. Living Jewels: The Natural Design of Beetles (Poul Beckmann) Prestel Pub
    • Living Jewels: The Natural Design of Beetles (Minis) Living Jewels 2: The Magical Design of Beetles
  4. お野菜戦争 (デハラユキノリ) 長崎出版
    • お野菜戦争 (cub label)
  5. 浮世絵「名所江戸百景」復刻物語 (東京伝統木版画工芸協会) 芸艸堂
    • 浮世絵「名所江戸百景」復刻物語
  6. Ashes and Snow (Gregory Colbert) Flying Elephant Books
    • Ashes and Snow: Book No. 1 など
  7. 筑豊のこどもたち (土門拳) 築地書館
    • 筑豊のこどもたち
  8. 地球家族-世界30カ国のふつうの暮らし- (マテリアルワールドプロジェクト) TOTO出版
    • 地球家族―世界30か国のふつうの暮らし
  9. ちからたろう (ぶん:いまえよしとも、え:たしませいぞう) ポプラ社
    • ちからたろう (むかしむかし絵本 (5))
  10. オーパ! (著:開高健、写真:高橋昇) 集英社
    • オーパ! (集英社文庫 122-A)
  11. 未確認動物UMA大全 (並木伸一郎) 学習研究社
    • 未確認動物UMA大全
  12. かわいそうなぞう (ぶん:つちやゆきお*1、え:たけべもといちろう*2 ) 金の星社
    • かわいそうなぞう (おはなしノンフィクション絵本)
  13. つづり方兄妹-野上丹治・洋子・房雄作品集- (野上丹治) 理論社
    • つづり方兄妹―野上丹治・洋子・房雄作品集 (理論社名作の愛蔵版)
  14. ハツカネズミと人間 (ジョン・スタインベック) 新潮社
    • ハツカネズミと人間 (新潮文庫)
  15. へんないきもの (早川いくお) バジリコ
    • へんないきもの またまたへんないきもの
  16. リサとガスパールのであい (ぶん:アン・グットマン、え:ゲオルグ・ハレンスレーベン) ブロンズ新社
    • リサとガスパールのであい
  17. ねぎぼうずのあさたろう (飯野和好) 福音館書店
    • ねぎぼうずのあさたろう その1 (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう〈その2〉しゅくばはずれのけっとう (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう〈その3〉人情渡し舟 (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう その4 (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう〈その5〉いそぎたび そばがきげんえもん (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう〈その6〉みそだまのでんごろうのわるだくみ (日本傑作絵本シリーズ)
  18. したきりすずめ (再話:石井桃子、絵:赤羽末吉) 福音館書店
    • したきりすずめ (日本傑作絵本シリーズ)
  19. かちかちやま (再話:おざわとしお、絵:赤羽末吉) 福音館書店
    • かちかちやま (日本傑作絵本シリーズ)
  20. 鬼ぞろぞろ (文:舟崎克彦、絵:赤羽末吉) 偕成社
    • 鬼ぞろぞろ (赤羽末吉の絵本)
  21. 花さき山 (作:斎藤隆介、絵:滝平二郎) 岩崎書店
    • 花さき山 (ものがたり絵本20)
  22. ベロ出しチョンマ (作:斎藤隆介、絵:滝平二郎) 理論社
    • ベロ出しチョンマ (新・名作の愛蔵版)
  23. モチモチの木 (作:斎藤隆介、絵:滝平二郎) 岩崎書店
    • モチモチの木 (創作絵本6)
  24. つきよ (長新太) 教育画劇
    • つきよ (スピカのおはなしえほん (13))
  25. 略画-五十音で引ける略画の百科- (野ばら社編集部) 野ばら社
    • 略画―五十音で引ける略画の百科

 写真集や絵本、大型本が中心のセレクションで、これら以外の本棚写真も展示されてましたが、写真禁止だしなかなか全部メモるというわけにもいかず。


 また、会場では(所蔵本とは別に)実本の展示を行っていましたが、「つづり方兄妹」のみは入手不可能だったとの事。
 そして「略画」のみは本人所蔵本を、筆記用具や原稿用紙と共にガラスケース内に展示していました。



 原画展は、初期の作品から、最近のものまで。
 ちくろ幼稚園なんかはもう2色の赤が変色して飛んじゃってたり。あと、色指定でやってるところが意外に多く、ちょっとびっくり。
 私が見てた時間帯、一番多くの人が足を止めていたのはやはり「うつくしいのはら」でした。営業ものがたりに収録。




 自分の雑誌掲載時の感想はこんな感じでしたが、そうですね、この物語が過去にも現在にも未来にもあった、ある、ありえてしまうお話であるという理不尽さへの回答は未だに見つけられません。
 でも、これより後の鴨ちゃんに関して描かれたものや、推薦図書のラインナップを見ると、また別の見方もできるかもしれないとは思います。
 あるがままの世界と悲劇の取り得るあらゆる形の間にある数多くの物語(いや、実話か創作に関わらず想像力と心を刺激するエピソードのうち、私の琴線に触れるもの)のうち一つであるのならば、それはそのようなもの以上でも以下でもない、ただそれのみの占める何かなのでしょう。
 ここで扱われているのが「言葉」であるというのがより私にとって重く感じられる要因であるのは確かだし*3、なんで西原理恵子が(自身のアジアや中東への渡航とそこからの経験も含め)そのような主題を「PLUTOの戦争」と関連付けたかは定かではありませんが、その根底にある、既に起きた悲劇への絶望と、それでもこれから起き得る、いや為しうる何かへの*4願望というものとこの物語のもつ悲しさというのは*5切り離せないものであるように思えるのです。
 「知らぬが仏」という言葉もあるように、そこに明るい(とは限らないけど)何かが見えてしまう、あったのではないかと考えてしまうと、それに到達し得なかったときの絶望はより深くなるのではないのかなあとも。
 ああ、また余談ばかり長くなってしまった。

当ブログの関連記事

 昨年のカラスヤサトシ、2005年のこうの史代は↓で紹介しております。




*1:土家由岐雄

*2:武部本一郎

*3:例えば、視聴覚を失い文字を読めなくなる言葉を聞けなくなる、という複合的な障害を負う事故にあった場合、点字等とその習得を果たすのかが先か自殺が先か、自分がどちらを選ぶかは判然としません

*4:希望ではなく

*5:少なくとも私という読者にとっては