情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

台湾版とフランス版の「ヒカルの碁」はこんな感じ




 毎度おなじみ(中略)、ってことは同じ巻で比較したほうが違いは分かりやすいよね、ということで。
 ほったゆみ×小畑健ヒカルの碁」19巻、ISBN:4088733320ンス版です。



 以後、特に断らない場合画像は順に、オリジナル・台湾版・フランス版の順です。
 画像は別ウィンドウで開きます(フォト蔵を使用)。



 ヒカルの碁 海外版 001-001



装丁・造本比較


 どちらも驚くくらいオリジナルに忠実に造られています。*1


 表紙、裏表紙、背表紙。


ヒカルの碁 海外版 001-001


ヒカルの碁 海外版 001-003



ヒカルの碁 海外版 001-002



 この3連門脇はちょっとどうか。




 大きな違いでは、梅沢由香里の段数がオリジナルでは四段*2なのが翻訳版では五段となっていること。


 ヒカルの碁 海外版 002_1 
 ヒカルの碁 海外版 002_2
 ヒカルの碁 海外版 002_3





 あと、この巻にはカラー口絵が折込で入ってるのですが、それの折り方がフランス版のみ違うというあたりでしょうか。(小さいか)


 ヒカルの碁 海外版 003-001


 日本版と台湾版はこう折られてて
 ヒカルの碁 海外版 003-002


 フランス版はこう。
 ヒカルの碁 海外版 003-003




 もちろん、このカラー口絵のロゴもちゃんと各国で変わっています。

 ヒカルの碁 海外版 004-001
 ヒカルの碁 海外版 004-002
 ヒカルの碁 海外版 004-003



 カバー下もそのままの絵、ですが、フランス版はわざわざ色を合わせてある。
 そこまでしなくても良いんじゃ・・・。


 ヒカルの碁 海外版 001-004


 ヒカルの碁 海外版 001-005

タイトルについて


 台湾版は「棋魂」、フランス版はそのまんま「Hikaru no GO」
 どちらの国でも「囲碁」「碁」というのはそのまま通じるのですが、台湾は独自タイトルになる場合が多いので*3これもやむなしかと。



 各話のサブタイトルは、オリジナルでは「第〜局」ですが、台湾はそのまま、フランスでは〜e PARTIEで、まあ「第〜回」くらいの意。


 ヒカルの碁 海外版 005-001
 ヒカルの碁 海外版 005-002
 ヒカルの碁 海外版 005-003




巻頭コメントとか

 今回のハイライト。
 この巻で、特に翻訳しにくいであろう箇所。



 オリジナル。ジャンプコミックス特有の仕様をネタにしています。


 ヒカルの碁 海外版 006-001




 台湾版。註をいれることで対処。


 ヒカルの碁 海外版 006-002




 フランス版。LOVEリンゴのマークを無理矢理入れて対処。


 ヒカルの碁 海外版 006-003



 つーか、これは一種奇想天外な方向の解決方法。
 多分、ほかの巻や作品にはこのマークが無いのに、ただコメントとの整合性を取るためだけにこの巻だけマークを入れるって・・・。
 いや、無いですよね、他の巻は。とりあえず、自分が持ってる範囲のジャンプ漫画のフランス版コミックには無かったですよ。





 巻頭の登場人物紹介とこれまでのあらすじは普通にそのまま訳されています。


 ヒカルの碁 海外版 006-2-001
 ヒカルの碁 海外版 006-2-002
 ヒカルの碁 海外版 006-2-003





本文はこんな風


 「ヒカルの碁」って、実は書き文字擬音がかなり少なくて、ほとんどはフキダシ内の写植文字で擬音表現をしてる。



 なんで、こんな感じ。


 ヒカルの碁 海外版 007-001 ヒカルの碁 海外版 007-002 ヒカルの碁 海外版 007-003



 ヒカルの碁 海外版 008-001 ヒカルの碁 海外版 008-002 ヒカルの碁 海外版 008-003






 また、台湾版は「絵」の描き換えはしない方針らしいので、それに関してはフランス版としか比べられない。
 入り混じったコマで比較すると分かりやすいかな。こんな感じになります。
 

 ヒカルの碁 海外版 009-001 ヒカルの碁 海外版 009-002 ヒカルの碁 海外版 009-003 



 日本語で書かれた看板*4は台湾版ではこんな風に註が入り、フランス版では描き換え。


 ヒカルの碁 海外版 010-001 ヒカルの碁 海外版 010-002 ヒカルの碁 海外版 010-003





 他にも擬音はこんな感じ



 ヒカルの碁 海外版 011-001 ヒカルの碁 海外版 011-002





 北斗杯のポスターでは、台湾版は脚注で内容を書いてますが、フランス版はすべて描き換え。


 ヒカルの碁 海外版 012-001
 ヒカルの碁 海外版 012-002
 ヒカルの碁 海外版 012-003





 フランス版では、その後のシーンに登場する時もその絵を張り込んだ感じですべて置き換えられています。


 ヒカルの碁 海外版 013-001
 ヒカルの碁 海外版 013-002
 ヒカルの碁 海外版 013-003






 どちらの翻訳でも、和谷がカツ丼を注文するシーンはちょっと微妙。(訂正あり:2008/03/04 06:45)


 ヒカルの碁 海外版 014-001
 ヒカルの碁 海外版 014-002
 ヒカルの碁 海外版 014-003


 解説しますと、これ、台湾のは豚肉を揚げたのを乗っけたご飯(所謂パーコー丼)になってますよねこれもちゃんとカツ丼を指すみたいです*5
 フランスの註も、焼いた豚を丼ご飯に乗っけた(PORC PANE SUR BOL DE RIZ)、というものです。
 これでは、カツ丼、すなわち、「とんかつを玉葱と一緒に甘辛い出汁で煮て卵とじにしたものを丼飯に乗せた料理」というのは伝わらないでしょうなあ。
 しかし*6、この台詞に感じる「店屋物の出前における出来立てじゃないもの特有の美味しさというか時々無性に食いたくなる感」というのを翻訳しろ、と言われても困難でしょうから、まあこれでも良いのかもしれません。





 あと食べ物関連だと、「おかわり!」なんかはそのまんまですか。


 ヒカルの碁 海外版 015-001 ヒカルの碁 海外版 015-002 ヒカルの碁 海外版 015-003





 他にフランスの方で芸が細かいな、と感じたのは人物同士の呼び方のニュアンスに対する対処の仕方。
 基本的に台湾もフランスも呼び捨てで、ヒカルと塔矢はこう呼び合ってます。

 ヒカルの碁 海外版 016-001 ヒカルの碁 海外版 016-002 ヒカルの碁 海外版 016-003



 ヒカルの碁 海外版 017-001 ヒカルの碁 海外版 017-002 ヒカルの碁 海外版 017-003



 塔矢、塔矢、AKIRA。進藤、進藤、HIKARU。





 これが門脇とヒカルの会話ではこうなってます。この時点だと少し距離があるんですね。


 ヒカルの碁 海外版 018-001 ヒカルの碁 海外版 018-002 ヒカルの碁 海外版 018-003 



 ヒカルの碁 海外版 019-001 ヒカルの碁 海外版 019-002 ヒカルの碁 海外版 019-003





 あと、あかりと金子さんの会話で、普通にみんな「HIKARU」と呼んでるため、幼馴染のあかりだけ名前で呼んでる、というニュアンスが出せないのでこういう風に処理しています。
 あかりはかわいいなあ、ホント。(って何を言ってるんだ、お前は)



 ヒカルの碁 海外版 020-001 ヒカルの碁 海外版 021-001 


 ヒカルの碁 海外版 020-002 ヒカルの碁 海外版 021-002


ヒカルの碁 海外版 020-003 ヒカルの碁 海外版 021-003





 もちろん、おまけページもそのまま訳されています。
 デザインも踏襲。


 ヒカルの碁 海外版 022-001


 ヒカルの碁 海外版 022-002


 ヒカルの碁 海外版 022-003




 そして、ほったゆみの「ヒカルの碁ネームの日々」も当然完訳。



 流石に手書き文字ではなく写植ですが、細かいところまでバッチリです。
 ゲームボーイアドバンスはそのまんまですな。このソフトがそれぞれの国で出てるかは不明ですが。


 ヒカルの碁 海外版 023-001


 ヒカルの碁 海外版 023-002


 ヒカルの碁 海外版 023-003





 このゲームはこれですかね。ヒカルの碁2




 この背中の「夫」って、フランスだと右下に註がついちゃってるから絵の一部(背中のしわとか)に見えるって事はないだろうか。


 ヒカルの碁 海外版 024-001


 ヒカルの碁 海外版 024-003


 ヒカルの碁 海外版 024-002





 アニメの画面として描かれてる佐為がちゅるやさんに見える。
 のはさておき、漫画とアニメのタイトルは合致してるみたいですね。漫画とで先に版権取った方が決めるのか、日本側でOK出すのかどっちでしょうね。


 ヒカルの碁 海外版 025-001 ヒカルの碁 海外版 025-002 ヒカルの碁 海外版 025-003




 日本時間だよ、という註が台湾版ではありますが、フランスではそのまんま。
 アニメの放映自体はされてたみたいなんですが、いいんでしょうか?


 ヒカルの碁 海外版 026-001 ヒカルの碁 海外版 026-003 ヒカルの碁 海外版 026-002




 こっちは上の句をうけての発言なんでこのままでいいのか。

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 ヒカルの碁 海外版 028-003 




 そういえば、この「SHONEN JUMP」マークはタイ版のアラレちゃんにもありました。
 世界共通フォーマットなんですかね?でも、以前紹介したジョジョには無かったような・・・。


 ヒカルの碁 海外版 027-001 ヒカルの碁 海外版 027-002




 といったところで今回はここまで。


*1:フランス版の上に見える緑のは、チェックのために張ってた付箋です

*2:初版が2002年10月なので、この直後に五段昇進

*3:翻訳開始の時点で佐為が居なくなることを予見はできなかったろうし

*4:で、それが無いと意味が通じなくなるもの

*5:2008/03/04 06:45 暇人さんのコメントを受けて取り消し線、変更

*6:出前だと重箱に入ってるという可能性もありますが、この後の絵を見る限り丼ですね