毎度おなじみ(中略)、ってことは同じ巻で比較したほうが違いは分かりやすいよね、ということで。
ほったゆみ×小畑健「ヒカルの碁」19巻、ISBN:4088733320ンス版です。
以後、特に断らない場合画像は順に、オリジナル・台湾版・フランス版の順です。
画像は別ウィンドウで開きます(フォト蔵を使用)。
装丁・造本比較
どちらも驚くくらいオリジナルに忠実に造られています。*1
表紙、裏表紙、背表紙。
この3連門脇はちょっとどうか。
大きな違いでは、梅沢由香里の段数がオリジナルでは四段*2なのが翻訳版では五段となっていること。
あと、この巻にはカラー口絵が折込で入ってるのですが、それの折り方がフランス版のみ違うというあたりでしょうか。(小さいか)
もちろん、このカラー口絵のロゴもちゃんと各国で変わっています。
カバー下もそのままの絵、ですが、フランス版はわざわざ色を合わせてある。
そこまでしなくても良いんじゃ・・・。
タイトルについて
台湾版は「棋魂」、フランス版はそのまんま「Hikaru no GO」
どちらの国でも「囲碁」「碁」というのはそのまま通じるのですが、台湾は独自タイトルになる場合が多いので*3これもやむなしかと。
各話のサブタイトルは、オリジナルでは「第〜局」ですが、台湾はそのまま、フランスでは〜e PARTIEで、まあ「第〜回」くらいの意。
巻頭コメントとか
今回のハイライト。
この巻で、特に翻訳しにくいであろう箇所。
オリジナル。ジャンプコミックス特有の仕様をネタにしています。
台湾版。註をいれることで対処。
フランス版。LOVEリンゴのマークを無理矢理入れて対処。
つーか、これは一種奇想天外な方向の解決方法。
多分、ほかの巻や作品にはこのマークが無いのに、ただコメントとの整合性を取るためだけにこの巻だけマークを入れるって・・・。
いや、無いですよね、他の巻は。とりあえず、自分が持ってる範囲のジャンプ漫画のフランス版コミックには無かったですよ。
巻頭の登場人物紹介とこれまでのあらすじは普通にそのまま訳されています。
本文はこんな風
「ヒカルの碁」って、実は書き文字擬音がかなり少なくて、ほとんどはフキダシ内の写植文字で擬音表現をしてる。
なんで、こんな感じ。
また、台湾版は「絵」の描き換えはしない方針らしいので、それに関してはフランス版としか比べられない。
入り混じったコマで比較すると分かりやすいかな。こんな感じになります。
日本語で書かれた看板*4は台湾版ではこんな風に註が入り、フランス版では描き換え。
他にも擬音はこんな感じ
北斗杯のポスターでは、台湾版は脚注で内容を書いてますが、フランス版はすべて描き換え。
フランス版では、その後のシーンに登場する時もその絵を張り込んだ感じですべて置き換えられています。
どちらの翻訳でも、和谷がカツ丼を注文するシーンはちょっと微妙。(訂正あり:2008/03/04 06:45)
解説しますと、これ、台湾のは豚肉を揚げたのを乗っけたご飯(所謂パーコー丼)になってますよねこれもちゃんとカツ丼を指すみたいです*5。
フランスの註も、焼いた豚を丼ご飯に乗っけた(PORC PANE SUR BOL DE RIZ)、というものです。
これでは、カツ丼、すなわち、「とんかつを玉葱と一緒に甘辛い出汁で煮て卵とじにしたものを丼飯に乗せた料理」というのは伝わらないでしょうなあ。
しかし*6、この台詞に感じる「店屋物の出前における出来立てじゃないもの特有の美味しさというか時々無性に食いたくなる感」というのを翻訳しろ、と言われても困難でしょうから、まあこれでも良いのかもしれません。
あと食べ物関連だと、「おかわり!」なんかはそのまんまですか。
他にフランスの方で芸が細かいな、と感じたのは人物同士の呼び方のニュアンスに対する対処の仕方。
基本的に台湾もフランスも呼び捨てで、ヒカルと塔矢はこう呼び合ってます。
塔矢、塔矢、AKIRA。進藤、進藤、HIKARU。
これが門脇とヒカルの会話ではこうなってます。この時点だと少し距離があるんですね。
あと、あかりと金子さんの会話で、普通にみんな「HIKARU」と呼んでるため、幼馴染のあかりだけ名前で呼んでる、というニュアンスが出せないのでこういう風に処理しています。
あかりはかわいいなあ、ホント。(って何を言ってるんだ、お前は)
もちろん、おまけページもそのまま訳されています。
デザインも踏襲。
流石に手書き文字ではなく写植ですが、細かいところまでバッチリです。
ゲームボーイアドバンスはそのまんまですな。このソフトがそれぞれの国で出てるかは不明ですが。
この背中の「夫」って、フランスだと右下に註がついちゃってるから絵の一部(背中のしわとか)に見えるって事はないだろうか。
アニメの画面として描かれてる佐為がちゅるやさんに見える。
のはさておき、漫画とアニメのタイトルは合致してるみたいですね。漫画とで先に版権取った方が決めるのか、日本側でOK出すのかどっちでしょうね。
日本時間だよ、という註が台湾版ではありますが、フランスではそのまんま。
アニメの放映自体はされてたみたいなんですが、いいんでしょうか?
こっちは上の句をうけての発言なんでこのままでいいのか。
そういえば、この「SHONEN JUMP」マークはタイ版のアラレちゃんにもありました。
世界共通フォーマットなんですかね?でも、以前紹介したジョジョには無かったような・・・。
といったところで今回はここまで。