情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
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もやしもん6巻と合わせて読みたい「ワインと戦争」

 もやしもん6巻(ISBN:406352213X)に収録されている第62話「欄外だけでは足りないの」では19世紀のフィロキセラ虫害に触れられていますが、この100年間におけるフランスのワイナリーにとって最大の危機であった、第二次世界大戦ナチスドイツによる占領と略奪にはノータッチ。


 というわけで、その辺に関して書かれた本*1では、この


 

ワインと戦争―ヒトラーからワインを守った人々

ワインと戦争―ヒトラーからワインを守った人々


 がオススメの一冊。



 第二次世界大戦時、1942年にはフランスにおけるワイン生産量とそのhaあたりの収穫量は戦争直前の半分以下まで落ち込みました。
 そこまでの過程に一体何が起きていたのか。そして、戦争終結までにどの様なことがフランスワインとその醸造家たちに起こったか。


 フランス軍によるヒトラーの別荘にして要塞である「鷲の巣」の占拠と、そのワインセラー開放に立ち会った人の証言。
 ワイン生産に携わる労働力が軍隊に徴用される事で何がおきたのか。
 ナチスドイツがフランスからのワイン買い付け(これにより、兵隊にワインを供給するのみならず、外貨を稼ぎ出した)に派遣した「ワイン総統フューラー」達のエピソード。
 ナチスに渡さないために壁の中や洞窟や隠し部屋に入れられたワインの運命。
 ユダヤ人を逃がす為に尽力したワイナリーの話。
 ワインの輸送と兵隊の動きの一致を報告することにより、ドイツのエジプト侵攻を知らせたレジスタンス。
 そして、戦争の終結とその後に来た1945年の当たり年。


 どれも、実際にあったことだからこその重みと、なお現在までワインが造り続けられているという事実とがグっときます。


 目次は以下の通り

プロロ−グ

  1. ブドウを慈しむ
  2. さすらう人々
  3. ワイン総統
  4. ワインを隠せ!
  5. 空腹の時代
  6. 戸口に狼
  7. 祭り
  8. 宝を守る
  9. 鷲の巣
  10. 対独協力者
  11. それぞれの帰還

エピローグ




#機会があったら是非読んでみてください。比較的大き目の図書館なら所蔵してるんじゃなかな。

*1:の中でも日本語訳されたもの