仕事祭―ビッグ錠短編傑作選 巻頭コメントより
ぼくは、読み切りというのが大好きです。
連載作品と違って、読み切りというのは作家にとって、苦しみも多いものです。
連載では出来ないテーマや、自分の世界を広げる面白さがある半面、限られた頁の中で完結させねばならないという壁もあります。
連載が定食とすれば、読み切りは本日限りの特別メニューというところでしょうか…。
では、当店のシェフお勧めの、本日の特別メニューを、ごゆっくりご賞味ください。
なんかある毎に「ジャンプは愛読者賞を復活させれば良いのに」とか「連載作家の(番外編じゃない)読切を載せてよ」みたいなことを書いてるんですが、ビッグ錠が見事に言い表してくれてたんで引用。
外食時に「この店ではこれ」と決まったメニューを頼む人と、日替わり定食を頼む派の人とが居ると思うんですが、自分は後者の側なのでこの例えが実にシックリくるんです。
ただ、現在は読切短編ってのを連載を持ってる作家はあんま描かないようなイメージがあるんですよね。
新人・ゲスト・連載への様子見プロトタイプはまだしもそれ以外は殆ど無くて、単行本にも纏まり辛い。(石黒正数なんかは出版社をまたいだ原稿を集めて短編集が出てます(ISBN:478592828X、ISBN:4199500669)が、稀有な例でしょう)
そんなの描いてるヒマがあったら連載を少しでも進めろというのも分かりますし、短編が苦手なんだろうなあという場合もありますが、それでも、特に長編作家にこそ描いて欲しいなあ。
単行本1冊を短編とは言わないけど、藤田和日郎の邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)や黒博物館 スプリンガルド (モーニング KC)みたいのを読んじゃうと余計その想いはつのったり。
#諸君 私は読切が好きだ、とか始めたくなっちゃいますね。