情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明


漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

2014年の記事まとめ




 書いて無いようで結構書いてるもんだ。
 トップ5以外でのオススメ記事にをつけています。


その他


 と、こんな感じです。
 2015年もよろしくお願いいたします。


講談社が「講談社文庫」レーベルからコミックを発売し始めるという大改革を実行した件について




 今月の新刊から、「講談社文庫」で文庫版サイズのコミックが刊行開始されました。
 「講談社漫画文庫」ではなく、本家レーベルです。


 僕はビートルズ1 (講談社文庫) カレチ 車掌純情物語 1 (講談社文庫) コミック 獣の奏者1 (講談社文庫)


 タイトルは「僕はビートルズ」「カレチ」「コミック獣の奏者」の3作品。普段漫画を読まない中高年読者狙いでしょうか。
 元の連載雑誌では、モーニング2作、シリウス1冊。「僕はビートルズ」「カレチ」は初の文庫化。(獣の奏者は、青い鳥文庫にも入ってる)


 講談社のサイトでも、まったく違うページに。


 これ、結構大きな出来事なんです。
 書店や駅売店への配本、陳列でも、レーベル差でまったく異なる場所に置かれるわけですよ。
 コミック文庫と別路線の顧客を拡大しようとしてるってのはもちろんだけど、文芸とコミックって編集部が違ってたり色々あるじゃあないですか。
 日本一の総合出版社が、そういうのを超えて、本家レーベルでコミックを出すというのは、かなりの大改革なわけですよ。


 ああ、まあ、一時期のらくろマーク使ってたか。いやそれでもコミックは別レーベルだったな。


 漫画文庫は、1970年代中期の第一次ブーム、1990年代の第二次ブームの後、コンビニコミックの隆盛などもあって落ち込んでいましたが、
 こうして一般レーベルで、活字文芸に交じって並べられれば新しい読者を確保できる、という考えもあるのかもしれません。


 この仕掛けが成功するのか、他社も追随するのか、そういった点を気にしていきたいところです。


「ブーム」は硬派な出版社さえトチ狂わせた。『「女子高生」解体新書』(新人物往来社、1995年)



 現在はKADOKAWAグループの一部となり社名自体が消えてしまったのですが、新人物往来社といえば歴史関連本をメインに出版していた出版社。


 そんな出版社からもう20年もの昔、世にいう「女子高生ブーム」の頃に「歴史読本」の別冊として出版されたのがこの『「女子高生」解体新書』です。



女子高生解体新書 (別冊歴史読本)
女子高生解体新書 (別冊歴史読本)


 裏表紙
 


 一部拡大
 



 「歴史読本」は、現在もKADOKAWAから発売されてますが、基本的に硬派。歴史読本 2014年 04月号 [雑誌]
 同時期にどんな特集や別冊があったかについては、こちらのページが参考になるのですが、やっぱり浮いてますよね>歴史読本に関する情報



 現在までも、ブランド価値的には引きずられつつ残ってる部分も多いのですが、言葉として「ウリ」なんてのが顕在化したのはこの頃ですかねえ。
 ブームであるという事が報道されることで拡散・拡大していって定着、という流れの過渡期だったのかな。


内容


 大きく四章立てになってまして、PART1〜4のタイトルは以下のとおり。
 
    

  1. 「女子高生文化」の変容と終焉
  2. 女子高生の心理と行動
  3. 思春期の悩みとカウンセリング
  4. 「女子高生」という幻想


 「終焉」には至らなかったよな。
 執筆者としては、藤井良樹宮台真司中森明夫小田晋など、その辺の人はもちろんですが、女子高生による座談会*1大川興行大川総裁ブルセラ論てのも。


  


 さらには、睦月影郎(ならやたかし)のブルセラショップレポ+レポ漫画なんてのもあって、当時の空気がわかる。
 



 普段「歴史読本」読んでた、その頃のオッサン向け読物として固めの体裁をとってるふりをしてるんだけど、やっぱりブームに流されちゃった企画だろうなあ、と思えますね。



 そうそう、ならやたかしの「ケンペーくん」ケンペーくん 増補新装版 (fukkan.com)は、イカレっぷりが面白いので未読の方は是非読んで見てください。


 といった所で今回はここまで。

*1:ライターが適当に書いた疑惑もあるが

「魔女の宅急便」原作者、角野栄子が欧州に本物を尋ねた「魔女に会った」は楽しくも興味深い一冊です(1993年、福音館)



 実写映画「魔女の宅急便」(majotaku.jp)公開間近になって、この本の事を思い出しました。


 魔女に会った (たくさんのふしぎ傑作集)
 魔女に会った (たくさんのふしぎ傑作集)


 もともとは、福音館書店の小学生中〜高学年向けの雑誌である「たくさんのふしぎ」1993年2月号として出版されたもの。
 1998年に「たくさんのふしぎ傑作集」のうち1冊として出たものが現在も版を重ねています。
 元々子供向けではありますが、大人が読んでも十二分に楽しめます。


 これはオリジナル版の表紙。


 内容は、ファスナハト・ワルプルギス・ベルギーの魔女の祭りを訪ね、ルーマニアの魔女の暮らしを訪ねた取材記でもあり旅行記でもあり。
 過去から現在に繋がる「魔女」の姿と成り立ちを追っています。

 


 


 みやこうせいによる写真も豊富で、今からしてみると20年以上前となる当時の姿が写されています。

 
 


 地図は作者本人による手描き。イラストとしても楽しい。



 興味があったら手に取ってみてはいかがでしょうか。
 といった所で今回はここまで。


 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語/[後編] 永遠の物語【通常版】 [Blu-ray] 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語(通常版) [Blu-ray]


改版される度にタイトルと表紙が変わりすぎな、この翻訳小説がすごい!



 これ、全部同じ作品ですよ。


 最初に邦訳されたのは2003年。
 「メディエーター 霊能者の祈り」として、ジェニー・キャロル名義で集英社文庫から発行。全3巻。
 翻訳文庫としてありがちな体裁。


 メディエーター 霊能者の祈り (集英社文庫)
 メディエーター 霊能者の祈り (集英社文庫)



 この後、メグ・キャボット名義で書かれた作品(プリンセス・ダイアリーなど)が日本でもヒットした事もあり、集英社文庫で刊行されたのよりも時系列が後になる3冊のシリーズ*1理論社から刊行され、その前日譚として改版・再刊行。


 2007年に「メディエータZERO〈episode 1〉天使は血を流さない」*2として、理論社から全3巻。
 ヤングアダルトな体裁に変わりました。


 メディエータZERO〈episode 1〉天使は血を流さない
 メディエータZERO〈episode 1〉天使は血を流さない


 これはソフトカバーだったこともあり、2012年にヴィレッジブックスから文庫化。
 今度はいわば、ライトノベル的体裁に。


 霊能者は女子高生! (ヴィレッジブックス)
 霊能者は女子高生! (ヴィレッジブックス)


 「霊能者は女子高生!」ってもう原型はどこへ行ったのやら。つーか、誤解させて買わせる気満々すぎんだろこれ。
 イラストレーションは「なめ」が担当。


 このタイトルは「若おかみは小学生!」(令丈ヒロ子講談社青い鳥文庫)をヒントにしたんでしょうか。確かにあっちも霊能者だし、はては「魔界編」まであるくらいだし、ジャンルとしてはかぶって・・・ないか。
 若おかみは小学生! 花の湯温泉ストーリー(1) (講談社青い鳥文庫) 若おかみは小学生!PART20 花の湯温泉ストーリー (講談社青い鳥文庫)



 とはいえ、原書の方もハードカバーやペーパーバックなどで表紙に差があるので、まあ、うん、こういうこともあるかもね。


 Shadowland (Mediator) The Mediator 1: No. 1: Love You to Death The Mediator: Love You to Death and High Stakes (Mediator Bind Up) The Mediator: Shadowland and Ninth Key


 といった所で今回はここまで。

*1:全体としてはエピソード4・5・6

*2:クローズZEROのZEROみたいなもんですね

2013年の記事まとめ




 去年も色々あったなあ・・・。
 トップ5以外でのオススメ記事にをつけています。


漫画雑誌関連

 掲載予告などは基本的に除外。

オフレポ、食い物、その他

 と、こんな感じです。
 途中、アホほど忙しかった時期は記事数減ってましたが、2014年はどうなるのかなあ。


 2014年もよろしくお願いいたします。


2013年に読んだ本、約350冊から選ぶ10選


  1. わたしの少女マンガ史―別マから花ゆめ、LaLaへ「わたしの少女マンガ史―別マから花ゆめ、LaLaへ」
    • 集英社から白泉社設立に携わって最後には社長にもなった、多くの漫画家を育ててきた編集者ならではの本。花とゆめ関連含め、びっくりな話も多い。読切をどんどん描かせるって、今は殆ど無いわな。
  2. そこに僕らは居合わせた―― 語り伝える、ナチス・ドイツ下の記憶「そこに僕らは居合わせた」
    • ナチス支配下の一般の人々の想い出話風に書かれた短編集。フィクションなんだけど、実際にあった事との繋がりによる重みがある。どこまでがフィクションか、ともね。隣に居たユダヤ人、何も無かった事になってる村、とかなあ。
  • 鶏が鳴く東―ことばの旅〈1〉 (ことばの旅 1) ベロベロカベロ―ことばの旅〈2〉 (ことばの旅 2)ことばの旅「鶏が鳴く東」「ベロベロカベロ」
    • 民俗学というにはいささか素朴な、方言の収集とその解釈と。三十年前に書かれた本で、収集時期はさらにその前なので、現在では消えた言葉も多いだろうな。2冊目は、書かれた年代がまちまちの様だが、伝承と思考を縦横に飛んで、面白い。意味を追いかけるだけではなく、使用される現場に居てこそ書けるものも多い。
  1. ステーキ! - 世界一の牛肉を探す旅「ステーキ! 世界一の牛肉を探す旅」
    • 美味いステーキを求めて世界をめぐり、最後には自分で牛を育てて食う所まで行き着いた話。穀物か草か、品種、生育環境、熟成、あらゆる要素を追う、そして食う。日本で牛タンに開眼したというのも面白い。
  2. オール・クリア 1(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) オール・クリア2 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)「オール・クリア」
    1. 「ブラックアウト」ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)続編。1冊の予定が2部作になり、さらに2巻目が2冊本に。最期の日が冒頭にあれど、まだまだ煽られる情勢と、その人までそんな状況に、ってのと、歴史の強制力はどの程度かわからない不安と。これで引っ張り期間がもっと長くなくて良かった。そして完結。最後の収束に向けてどんどん加速していく。登場人物たちの強さも弱さも、変化も、全てが繋がっていく。タイトルと重なって感動です。
  3. 日本のタコ学「日本のタコ学」
    • タコ研究をしている人たちの、一般向け啓蒙集。というと堅苦しそうだが、気楽に読めて面白い。学名の由来から、沖縄での新種発見、タコの種類と姿、タコのセックスまで色々。写真・図版も豊富で面白い。未知の世界はまだまだあるんですねえ。
  4. マタギとは山の恵みをいただく者なりマタギとは山の恵みをいただく者なり」
    • 春夏秋冬、狩りだけではない阿仁マタギの生活。植物、魚、動物。生態系ピラミッドの頂点ではなく、それぞれの段階から少しづつもらう、というのは目から鱗な指摘である。
  5. ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ (講談社文庫)「ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ」
    • WW2後の日本で米兵と日本人のハーフとして孤児になり、アメリカに養子に行き、ベトナム戦争で死す。自分自身の拠り所を持つのに、それしかなかったのか。人間としてのありかたをも考えさせられる。
  6. 新宿末廣亭うら、喫茶「楽屋」新宿末廣亭うら、喫茶「楽屋」」
    • 特殊な場所に存在する、ちょっと変わった、それでも普通な喫茶店の店長による、想い出語りなど。時代の生き証人という言葉がふさわしい。師匠連の素の顔だったり、不思議で愛するべき側面だったり。内と外の感覚は、そうなんだよな。距離感は大事。
  7. テキヤ稼業のフォークロアテキヤ稼業のフォークロア
    • 東京、それも下町地域のテキヤが取材元ということで、イメージするのは寅さんなんですが、これは色々興味深い。しかし、商人7割ヤクザ3割っていうけど親子関係とかはヤクザまんま。しかし、博徒系との差、商売のあり方、堅気との差など、そっち側とこっち側のありかたを考える基点になる。


 毎週日曜日、twitterで読書感想つぶやきをしています。
 その記録だと、(上下巻とかはあるものの)現在までに今年は350くらい。1日1冊程度。
 やっぱり、活字の本はそんな読めないですねえ。*1


 でもまあ、上位3%なら充分だろ、ということで10選んでみました。今年自分が読んだという事なので、発行日が古いのもあります。上下本とかはセットで。



 


*1:漫画雑誌は、週刊10誌×48、隔週10誌×24だけで600冊超えるのですが・・・